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えひめ、その食とくらし(平成15年度)

本書のねらい・凡例

1 目 的
  この調査研究は、永い伝統を引き継ぎ昭和・平成と激動の20世紀を生き抜いてきた人々のくらしに焦点を当て、そのくら
 しに学ぶとともに、高度経済成長期以前の原風景を記憶でたどりながらふるさと愛媛の優れた地域資源を掘り起こし、今後の
 愛媛の歩むべき方向を探ろうとするものである。また、県民だれでも参画でき、しかも人文・社会・自然の各分野が協力し
 て総合的・学際的な調査研究を行う「えひめ地域学」の構築も併せて目的としている。さらに、その成果は、県下各地で行わ
 れている生涯学習において広く活用するとともに、「えひめ地域学」の普及・啓発に資するものである。

2 本年度のテーマ
  「えひめ、その食とくらし」

3 テーマ設定の理由
  生活環境の変化や核家族化の進行などに伴い、日々のくらしの舞台である家とその周辺から伝統的な地域文化が失われつつ
 ある中で、今日まで、それを支えてきた人々のくらしぶりや伝えられてきた食の文化を見つめ直すことにより、伝統に根ざし
 た新しい愛媛のくらしの創造を図るために選定した。

4 調査対象地域
  愛媛には、県内各地にさまざまな生活様式や年中行事、人生儀礼、地域共同組織などが見られるが、その中から東・中・南
 予、都市部・山間部、農山村・漁村等のバランスを考慮して、54の市町村を調査対象地域とした。
  【関係市町村】
    今治市、新居浜市、西条市、川之江市、新宮村、土居町、小松町、丹原町、玉川町、波方町、大西町、吉海町、
    宮窪町、伯方町、岩城村、上浦町、松山市、伊予市、北条市、重信町、川内町、中島町、久万町、面河村、美川村、
    柳谷村、小田町、松前町、広田村、中山町、双海町、宇和島市、八幡浜市、大洲市、長浜町、内子町、河辺村、
    伊方町、三崎町、三瓶町、明浜町、宇和町、城川町、吉田町、三間町、広見町、松野町、日吉村、津島町、内海村、
    御荘町、城辺町、一本松町、西海町

5 調査研究の視点と特徴
  今回の調査の視点と特徴を箇条書きすると、次のとおりである。
(1)愛媛の伝統的な地域文化と深くかかわり、それを支えながら昭和を生き抜いた人々の食とくらしに焦点を当てて調査研究
  した。時代的には昭和が中心で、人々のくらしに学ぶという視点から調査した。
(2)現地調査を重視し、生活者の生の声を大切にし、既存の資料を補助的に使用しながら、できるかぎりオリジナルな資料を
  もとにまとめるよう努力した。
(3)今回の調査では、「愛媛の食の文化」「愛媛の儀礼食」「地域の食とくらし」「ふるさとの食をささえる味」の視点から
  アプローチを試み、内容の深化を図るとともに、伝統的な地域文化とくらしのかかわりを総合的に明らかにするようにし
  た。
(4)既存の学問(歴史学、地理学、民俗学等)の調査方法にとらわれないで、より総合的・学際的に調査しようと試みた。
(5)生涯学習の一環として、県民の皆さんにふるさとの地域調査に気軽に参加していただくために、「聞き取り-語り」を重
  視してまとめた。

6 調査研究方法
(1)文献調査に偏らず、聞き取り調査や実踏調査など現地調査を重視した。
(2)自然科学・人文科学・社会科学等の枠を越えて、学際的なアプローチをした。
(3)学識経験者のみならず、実際に地元で生活を営んでいる方々の協力を重視した。

7 協力者
(1)愛媛大学教育学部讃岐幸治教授には、「えひめ地域学」の基本的な考え方と、この調査についての全体的・総合的な指導
  をいただいた。
(2)伊予史談会武智利博会長には、調査の計画や方法及びまとめ方等について指導をいただいた。
(3)昭和を生き抜いた人々のくらしの調査では、聞き取り調査や実踏調査に約230人の方々の協力をいただいた。
(4)調査対象の各市町村や教育委員会には、聞き取り対象者の選定や関係市町村の資料の収集などの協力をいただいた。


【凡 例】
 ① 本書は、平成15年5月から平成15年12月にかけて実施した現地調査を中心にまとめたものである。
 ② 聞き取り調査の対象者は、当該市町村(教育委員会)との協議をもとに選定したものである。
 ③ 本文については、常用漢字や現代仮名遣い、新送り仮名の使用を原則としたが、歴史用語・専門用語等については例外と
  した。
 ④ 引用文は原則として原文のまま記載したが、必要に応じ振り仮名を付けたり、( )書きで説明を加えた。
 ⑤ 本文中の年代表示は、和暦に( )書きで西暦を示した。
 ⑥ 本文中の生物名及び民俗学用語は、原則としてカタカナで表示した。
 ⑦ 本文中の単位は、℃、%、kg等で表示した。なお、尺貫法に基づく記述の場合は、メートル法による換算値を併記して
  いる。
     面積:1坪=約3.3m²、1畝=約99m²、1反=約992m²、1町=約9,917m²
     容積:1合=約0.18ℓ、1升=約1.8ℓ、1斗=約18ℓ、1石=約180ℓ
     重量:1斤=600g、1貫=3,750g
 ⑧ 地名は原則として、その当時の用例に従ったが、必要に応じ現在の地名を示した。
 ⑨ 参考文献等は、各節末にまとめて記載した。