データベース『えひめの記憶』
宇和海と生活文化(平成4年度)
第1節 生活意識調査の概要
1 調査の計画と設計
(1)目 的
宇和海沿岸地域の人々が、地域や日常生活に対してどのような考えや意識をもっているかを探ることにより、この地域の
生活文化を総合的・多角的にとらえるための基礎資料を得ることを目的とする。
(2)調査課題
ア 地域に対するイメージや魅力などの把握
イ 家庭生活に対する満足度や暮らし向きなどの把握
ウ 個人としての生き方・考え方などの把握
エ 生活実態の把握
(3)調査設計
ア 調査地域
宇和海沿岸地域の15市町村
宇和島市、八幡浜市、保内町、伊方町、瀬戸町、三崎町、三瓶町、明浜町、吉田町、津島町、内海村、御荘町、
城辺町、一本松町、西海町
イ 調査対象
20歳以上の男女個人
ウ 標 本 数
750抽出 740回収(回収率98.7%)
エ 標本抽出法
無作為抽出法
オ 調査方法
留置調査法(対象者の自記式アンケート)
配布・回収は最寄りの県立高等学校に依頼
力 調査時期
平成4年11月15日~25日
キ 調査依頼先
三崎高等学校 川之石高等学校 八幡浜高等学校 三瓶高等学校 宇和高等学校 吉田高等学校 宇和島東高等学校
津島高等学校 南宇和高等学校
ク 調査実施
愛媛県生涯学習センター
(4)回答者の属性
ア 合 計 740
イ 性 別 男292 女444 無回答4
ウ 市町村別 (図表2-1-1参照)
エ 年齢別 (図表2-1-2参照)
(5)結果分析の視点
ア 全体としての標本数が少ないことや、高齢者にとって質問が難しいきらいがあったこと、分析する時聞が少なかったこ
となどにより、結果の分析は全体的な大まかな傾向をとらえるにとどめた。
イ 各市町村ごとの標本が少ないので、市町村間の比較はできるだけ避けることにし、年齢層別や性別などについて比較検
討した。
ウ 昨年度実施した「瀬戸内の島々の生活文化」における生活意識調査と比較検討するため、基本的に同じ調査票を用い
た。
エ 賛否の度合いの強さや有無の程度を問う質問の分析に当たっては、次に例示する方法により、結果を加重平均にし、
「○○○指数」を算出し比較検討した(図表2-1-3参照)。
オ 全県・全国レベル調査との比較をするために、図表2-1-4の調査を参考にした。
2 調査結果の要約
(1)地域に対する意識について
○ 地域に対するイメージは、「自然に恵まれ、おだやかで、美しく、明るいところ」というプラスのイメージが強い。その
反面「不便で、古臭く、狭いところ」というマイナスのイメージも存在している。
○ 地域のイメージを色に例えると、「青(海)」「緑(野山)」「だいだい色(みかん)」のイメージが強いようである。
○ 住み良さと魅力については、相当高い評価をしており、両者は相互に関連しているが、魅力の方が若干低い。さらに、高
齢者ほど住み良くて魅力のあるところと思っている。
○ 魅力を感じる要素としては、「気候」「人情」「風景」を挙げている。反対に魅力に欠ける要素としては、「良い就職先
が無い」「経済的活力が無い」「生活が不便」を挙げている。
○ この地域の人々の気質は、全体的には南予人気質ではあるが、海に面していることもあってか、「豪快で生気に富む」と
いう気質も南予平均より高い。
○ 地域活動へは、かなりの人が何らかの形で参加しているが、若い年齢層に「何も参加していない」者が、若干多い。
(2)家庭生活に対する意識について
○ 暮し向きについては、10年前はちょっと苦しかったが、現在は普通で、将来は10年前より苦しくなると思っている人が
多い。
○ 満足度の高い項目は、「家庭の人間関係」「自然環境」「地域の人間関係」「住宅」を挙げ、低い項目としては、「交
通」「教育文化施設」「保健医療」「収入」を挙げている。
○ 親と子との同居については、8割以上が肯定的であり、現実に過半数の人が同居している。
○ 同居の理由としては、「昔からの慣習であたりまえ」と考えている人が圧倒的に多い。
○ 将来の生活に対する不安については、「老後の健康問題」をトップに挙げている。
○ 県や市町村に対する要素としては、「社会福祉・老人対策」「地域の開発」「道路・交通対策」「物価・暮らし向き対
策」「生活環境」が上位を占めている。
(3)個人としての生き方・考え方について
○ 固人の生き方・考え方については、伝統や慣習を重んじ、家庭の団らんを重視し、仕事優先の経済的な生活志向がうかが
える。
(4)生活実態
○ 生活時間は、朝6時から7時ごろまでに起きて、7・8時間働き、夜9時から11時ごろ寝るのが一般的である。しか
し、若いものほど「遅寝遅起き」である。
○ 一家の生活費(1か月)は15万円から20万円の間が一番多い。
○ 購入活動の特徴は、米・野菜・肉・鮮魚については、どの市町村とも80%以上が居住市町村内で購入(または自給)し
ているが、他の家具・衣料品・自動車等ついては、八幡浜市と宇和島市以外の町村では50%以下で他へ依存している割合
が高い。