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愛媛県史 人 物(平成元年2月28日発行)

解説

 本書は,本県に出生,または居住した人物,その他本県にゆかりのある人物,約2000名を選定し,その人物の顕著な事績を顕彰し,広く県民に周知しようとするものである。
 収録した人物は,古代から現代までとし,伝説上の人物も含めて事典的に記述をした。
 記述上とくに留意したことは,
 (1)古代・中世・近世までの人物については,約500名,近・現代については故人(物故者)に限り,昭和63年12月末までの物故者に限定することを原則とした。
 (2)できるだけ多くの人物を記載したいが,紙数の関係もあり,政治行政・産業経済・文化社会等各部門で,国及び県政発展に寄与した人物,県民に多くの影響を与えた人物という観点より選定し,割愛した人物も数多い。
 (3)取り上げた人物については,生没年を明確にし,略歴・業績を記述するだけにとどまらず,その人物の人間性にも触れる記述をしようと努めた。
 (4)国造や国司・守護・大名・知事・議長・受賞者等については一覧表にして付表として巻尾に載せ,読者の便宜を図った。
 (5)写真は明彩で,しかも人物のイメージをダウンさせないものを選定して載せた。
 本書において配慮した事項は,
 (1) どのような人物を選ぶか,人物選定の基準をどこに置くかということで,委員の衆知をしぼり,数回にわたる慎重な協議を経て,県史各部門の部会長による選考委員会で最終決定を行った。
 (2)記述の上で,その人物の履歴・業績を忠実に記述することに努めると共に,できるだけその人物の人柄・性格・人間性にも触れ,生きざまを叙述することに配慮した。
 ともかく,県史や市町村誌,既刊の人物事典等を参照しながら県史「人物」の特色をどのように打ち出すかに最大の苦心があった。歴史は人間がつくるものであり,人間もまた歴史によってつくり出されるといわれている。一人の人物が,その時代に精一杯生き抜いた生きざまこそ何よりも尊いものであり,その生き方に人々は感動を覚えるものであると考え,人間特有の体臭のただよう人物を描きだすことを本編の特色にしたいと念願した。
 紙数その他の関係で,今回掲載されなかった数多くの先人の顕彰は次回に待つことにするが,人間の価値は単純には計測できるものでなく,まだまだ多くのすぐれた人物の発掘こそ今後の大きな課題であると考えている。