データベース『えひめの記憶』
伊予市誌
一、子どもの遊び
子どもは、昔からほとんど遊び道具のない状況の中でも、自分たちで自然の中に見付け出し、工夫して、上手に遊んでいた。それは、子ども自身の想像力を育て、仲間をまとめるがき大将を中心に、時には木の上で、川原で、小さな生き物や草花をとって、楽しく遊んでいた。
花・草・木での遊び
れんげ草やクローバーでつくった首かざりをかけて遊んだり、竹馬をつくって競走したり、クローバーの花の長さをくらべっこしたりして遊んだ。
ほうしこ(つくし)をとりに一日中土手をさがして歩いた。また、麦笛を作って吹きならしたり、竹で作ったてっぽうで、杉の実や道ばたの草の実を弾にして、撃ち合いをしたり、ささ舟を川に流したり、竹とんぼやどんぐりひろいなどをして子どもたちは楽しく遊んだ。このように、自然の草木を使って上手に工夫して遊んだ。
昆虫との遊び
蛍やとんぼ・せみをとったり、朝早くくぬぎの木に止まっているかぶと虫をとったり、大きな角を突き合わし勝負をさせたりしておもしろがった。
また、女郎ぐもという大きなくもを捕らえてきて、けんかをさせ、最後にくものしりから糸を出してくるのを、おもしろがった。
道具を使っての遊び
たこあげは正月前から冬の寒い間、麦畑やわらぐろのかげなどで、揚げくらべをして遊ぶのは子どもにとって一番楽しい遊びだった。たこには、角だことやっこだこがほとんどで、図柄も武士の勇壮な絵に人気があった。
また、たこあげとならんで面白いのが、こままわしであった。これは長くまわすくらべっこや、ちょんかけといって手品のように、ひもの上を横にまわしたりして遊んだ。こまのけんかといって、相手のこまにぶっつけ、こまの回転をとめたものが勝ちという遊びがあった。また、直径が五㌢㍍位の雑木を一〇㌢㍍の長さに切りとり、下半分位を削って円すい形にしたものを細竹の先に布切れをつけて、このこまをたたきながら器用にまわして遊ぶ「たたきごま」があった。これらは男の子にとって一番楽しい冬の遊びであった。
女の子は、お手玉(各種の色模様で袋を縫いその中に、あずきなどを入れたもの)でこの遊び独特のうたを歌いながら遊んだり、羽根つきをしたり、すごろく・子どものための「いろはかるた」など、正月には楽しい遊びが沢山あった。
そのほかに、女の子にはあやとり・なわとびがあり、男の子には、ぱっちん(めんこ)・ねんがり(稲刈りのすんだ田んぼで、棒切れを打ちつけて相手の棒を倒してとりっこする)・ビー玉遊びなど数多くあった。
その他の遊び
おにごっこ(おにごと)は普通だれもが盛んにしたが、それに似た遊びに、缶けりがあった。男の子も女の子も遊べるので、一番多く行われた。
男の子にはどううまといって、またの下に首をつっこんで何人もが上に飛び乗って「ひに、ふにだァ……」といううたを歌い、くずれないように頑張る遊び・腕ずもう・陣とりなどがあった。
女の子にはかごめかごめの遊びや目かくしをしたものが鬼になり、「鬼さんこちら、手のなる方へ」とからかいながら逃げまわる遊びがあった。