東明神の樅ノ木に樹齢およそ五〇〇年の目通りのまわりが約五㍍、高さ約三〇㍍のマキの木がある。 このマキの木の由来は、あまりはっきりしないが、古老の話では享禄四年(一五三一)八月一三日、四七歳で亡くなった山之内鶉鷹正が、早くからこの地に住み、植えたものだという。 約五〇〇年の間、三坂峠を行き来する旅人を見続け、樅の木は人々の生活と歴史を見続けてきた生き証人。だが、その歴史を内にしまい込んで、語ろうとはしない。