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四国遍路のあゆみ(平成12年度)

(1)遍路の実態とその心情④

 (キ)遍路に出た理由

 図表2-2-33によると、「先祖の供養」、「自分探しの旅」、「自分の健康や家族の問題」、「信仰・修行」それに「精神修養」がそれぞれ12%から17%を占めており、きわめて多様な動機に基づいて遍路に出ていることが分かる。
 調査項目は異なるが、「早大道研」の資料では「先祖・死者の供養」が最も多く、以下、「家内安全」、「信仰・修行」、「健康祈願」の順に高い割合を得ている(⑩)。
 遍路に出たいきさつや心の変化は、自由記述についても、同じく多様な意見が寄せられている。

 (ク)巡拝の方法

 四国八十八ヶ所を何回かに分けて巡拝する区切り打ちが73%に対して、一度に巡拝する通し打ちが24%となっている。「早大道研」の調査でも、区切り打ちが71%、通し打ちが28%と圧倒的に前者の方が多い(⑪)。
 また、最近の遍路は巡拝日数のみをあらかじめ設定し、何か寺を参拝するかは決めていない場合が多いことがうかがえる。

 (ケ)宿泊施設

 図表2-2-35によれば、遍路が利用する宿泊場所は、民宿が最も多く、次いで、旅館、宿坊、ホテルの順になっている。なお、「その他」の項目の内訳ははっきりしないが、野宿、車中泊や友人宅など、多様な宿泊をしていることが想定される。
 また、車遍路と徒歩遍路に分けて考えると、両者とも民宿、旅館、宿坊での宿泊が多く、その差はあまり見られないが、車遍路はホテルの利用が多く、徒歩遍路は昔ながらの善根宿に9人も宿泊しているのが注目される。

 (コ)遍路の経費

 遍路の経費については無回答が多く、正確さを欠くが、一人あたりの徒歩遍路の平均費用が約25万円に対して、車遍路は約11万円になっている。徒歩遍路は一度遍路に出ると、ある程度、日数をかけて霊場を巡拝するのに対して、車遍路は日曜遍路や日帰り遍路、さらに一国参りの遍路などのように短期間の巡拝が多く、経費も少なくなっているのではないかと思われる。
 また、1日あたりの平均費用は、徒歩遍路が約8千円、車遍路が1万7千円となっている。
 なお、調査方法は異なるが、「早大道研」の調査でも、徒歩遍路の方が多額の費用を要するという結果が出ている。

図表2-2-33 遍路に出た理由

図表2-2-33 遍路に出た理由


図表2-2-34 巡拝の方法・区切り打ちの内訳

図表2-2-34 巡拝の方法・区切り打ちの内訳


図表2-2-35 遍路が利用した宿泊施設

図表2-2-35 遍路が利用した宿泊施設


図表2-2-36 遍路の経費

図表2-2-36 遍路の経費