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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業10-西条市-(平成28年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第1節 クラレ西条工場

 株式会社クラレは、大正15年(1926年)に倉敷絹織株式会社として設立された。昭和3年(1928年)に倉敷(くらしき)(岡山県)でレーヨン糸の生産が開始されると、昭和8年(1933年)からは新居浜(にいはま)でも生産が開始されるなど、愛媛県との関わりにも古い歴史をもつ会社である。
 西条工場は、既設の新居浜工場の用水難を解決したい会社側と、工場を誘致し臨海産業都市としての成長を目指していた西條町(昭和16年〔1941年〕に市制施行)との条件面での一致から設立が進み、昭和11年(1936年)7月24日にレーヨン工場での操業が開始され、さらに翌12年(1937年)4月にはレーヨン短繊維であるステープルファイバー工場が建設されて事業化されたことにより、レーヨンとスフ(94ページ参照)の並列生産工場となった。
 太平洋戦争中の昭和18年(1943年)には、西条工場以外の各地の工場で合板と木製飛行機を生産したことから、倉敷航空化工株式会社と社名を変更した時期があったものの、戦後の軍需生産中止に伴い社名を復帰し、昭和23年(1948年)にはレーヨン糸の生産を再開した。翌24年(1949年)に倉敷レイヨン株式会社と社名を変更して以降、ポバールフィルム生産やポリエステル長繊維の事業化等を通して、戦後から昭和30年代、40年代の旧西条市の成長に大きく貢献してきた。
 本節では西条工場での仕事に携わった、Aさん(昭和3年生まれ)、Bさん(昭和5年生まれ)、Cさん(昭和8年生まれ)、Dさん(昭和12年生まれ)、Eさん(昭和26年生まれ)から、当時の仕事の様子や思いについて話を聞いた。