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えひめ、その食とくらし(平成15年度)

第2節 人の一生と食

 この節では、人生儀礼における食とそれに関する食習慣について取り上げる。人生の節目においては、食が人の命を支える栄養源にとどまらず、人々の心身に特別な働きかけをすると考えられている。
 「1 誕生と食」では、初誕生までを対象とし、無事な出産を願う「安産の食」や子どもの無事な成長を祈る「力の食」を探った。
 「2 婚姻と食」では、結婚と嫁の里帰りを対象とし、人々を結ぶ「祝いの食」を探った。
 「3 厄年と食」では、人生の節目に大盤振る舞いで「生命力を更新する食」を探った。
 「4 葬祭と食」では、死者に対する「呪術的(じゅじゅつてき)な食」や、死を悼み死者をまつる「慎みの食」を探った。
 人の一生には、さまざまな節目があり、それぞれの節目に行われる儀礼を人生儀礼あるいは通過儀礼と呼んでいる。人は、誕生、発育、成人と段階を踏んで一人前の社会人となり、結婚して次代を支える子どもを養育し、厄落(やくお)としや年祝いを経て一生を終える。葬式を経て、あの世の段階に進んだ死者の霊は、やがて祖先の神となり、人として再生し誕生すると考えられてきた。そこでは、人生儀礼は循環的な構図としてとらえられているのである(①)。

図表2-2-1 「人の一生と食」で取り上げた調査地と調査内容 

図表2-2-1 「人の一生と食」で取り上げた調査地と調査内容