本書の調査対象とした時期は、昭和初期から昭和30・40年代の高度経済成長のころまでである。ちょうどこのころ、日本人の普段の衣服は和装から洋装に変化していったとされている。従って、本書では、きものが、子どもの通学服、大人の作業着、家庭でくつろぐときの衣服として、頻繁に登場する。個々の生地や織り方については、必要に応じて本文中で適宜説明を加えたので、ここでは、きものの各部の名称と袖の種類について理解を深めていただきたい。