データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

(2)峠、今昔①

 ア 犬寄峠

 犬寄峠は、標高329mで旧中山町と伊予市郡中を結ぶ、国道56号の難所であった。犬寄の地名の由来は、江戸時代に左衛門という人物が峠を越えようとした際に何千という山犬に襲われたが、朝を告げる鶏鳴によりようやく難を逃れたという故事による(⑬)。旧道は曲がりくねったカーブが多数あり、また片側が崖になっている箇所も多く、大部分は離合も出来かねるほど車幅が狭い。かつての危険な道路状況を推察できる。一方で現在の国道は大橋とトンネルにより、旧道のはるか下を走っている(写真1-1-10参照)。峠周辺は人家が多く、旧道時代の繁栄をしのばせる(写真1-1-11参照)。昭和44年(1969年)の全長749mの犬寄トンネル開通で、40分近くかかった峠越えが5分に短縮された(⑬)。


写真1-1-10 旧道から見た現在の国道56号

写真1-1-10 旧道から見た現在の国道56号

伊予市中山町佐礼谷。平成19年11月撮影

写真1-1-11 現在の旧道犬寄峠付近

写真1-1-11 現在の旧道犬寄峠付近

左端に朽ちかけた犬寄峠道標が見える。伊予市中山町佐礼谷。平成19年11月撮影