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えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

(4)農家民泊と協議会のめざすもの

 GTの特色の一つとして農家の自宅に旅行者が宿泊し、交流を深める「農家民泊」がある。ヨーロッパでは広く認められている形態だが、我が国では旅館業法や消防法、さらには建築基準法といった様々な法的な規制があり、その普及は遅れていた。しかし、平成15年に大分県が安心院から出された農家民泊開設の要望を認めたことを皮切りに、その後順次規制緩和が進んだ。平成19年現在、県下には22か所開設の農家民宿が開設されている。
 **さんは、「先進地域の大分県安心院では、約17軒が農家民泊を実践しています。それは、家のすぐそばに牛小屋があったり、畑があったりで、散歩でもしながら畑に寄って野菜を収穫して、それを使って料理を作ったりするのです。夜も落ち着いてお茶でも一服やりながら、なんだかんだとお話ができて、本当にゆったりとした時間を持つことができるように運営されています。こういった取組を進めているリーダーの方の人柄もすばらしくて、私たちもそういうものをやってみたいのです。港で船を降りて、ぱっとやってきて、そしてぱっと帰られてしまうような交流ではなくて、もっともっと食や収穫の体験を宿泊してもらいながらゆったりとやって欲しいと考えています。」と話す。
 また、**さんは「今年度(平成19年度)の大きな目標として、ずっと以前から考えている農家民泊をぜひやっていきたいのです。協議会の中にも農家民泊をやってみたいと考えている方たちの部会(ゆかいな仲間達)があり、そこで検討していただいきましたが、それぞれ自分たちの本業の方が忙しく、なかなかできなかったのです。また、そこには実際に民泊をやっていくことへのためらいもあるのです。みんなが同じ足並みを揃(そろ)えてやっていくというのは、難しいものがありますが、でもなんとか今年度中にはできるところから開設してみようと考えています。」と話す(実際に平成19年11月にしまなみ地域では伯方町有津の「ファーム有津」、同木浦(きのうら)の「ファームイン ポーチュラカ西部」、上島(かみじま)町井口(いぐち)の「農家民宿べじべじ」の3軒の農家民泊が開業され、その営業が始まった。)。
 そして今後のしまなみGT協議会の目指す方向について、**さんは「これまで組織の大きな再編も行ってきましたが、今後はこれまで以上にさらなる自立的な活動を進め、独り立ちしていきたいと考えています。そのためには、会員の皆さんの声を聞きながら解決していきたい課題もいくつかあります。例えば、体験メニューは現在69ありますが、これまでの様子をみると体験受け入れの非常に多いものもあれば、逆に少ないものもあります。このようなメニューによって大きな差がないように、全体としてのバランスをとることが必要だと感じています。自立していくためには会員の皆さんそれぞれの体験受け入れへの意欲が今まで以上に強いものが必要になってくるとも感じています。そして、潮流体験とか、地引き網とかの体験メニューをさらに充実させながら、もっともっと『しまなみらしさ』を出していきたいと考えています。」と話した。