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愛媛学のすすめ

私が思う愛媛学

 「愛媛学」はなぜ、今必要なのか。
 八幡浜、大洲圏(2市13町1村)が地方拠点都市の第一次指定に選ばれ、平成5年がまさに「地域元年」にふさわしい年であると言われている。この施策が定着するかどうかは、指定地域が独自の手作りの地域づくりができるか否かにかかっている。そして、独自の地域づくりに参加する我々にとっては、必然的に我々の住む地域の歴史を学び、地域の現状を見つめ、我々が住んでいく地域の未来を考察していくことが義務である。そのためにも愛媛学の構築は、今不可欠である。
 「愛媛学とは?」誰が、いつ、どこで、何を、どのようにして学ぶ学問であるのか。私が現在勤務している地域(西宇和郡保内町)の取り組みから考えてみたい。
 昨年、町内のある小学校で保内町の三傑の一人である第39代横綱前田山をテーマにユニークな研究発表会が行われた。全校児童202名が郷土の生んだ偉大な横綱について、エピソードや秘話を詳細に調査し、また等身大の人形を形成して発表を行い、「豊かな人間性を育て、郷土に根ざした教育の実践」を目指した研究発表会であった。
 児童、生徒を地域や家庭にかえし、ゆとりの時間を与える学校週5日制が昨年の9月から施行された。保内町では4つの公民館が11月の第2土曜日を利用し「親子ふるさと文化財めぐり」「郷土の文化財・文化遺跡を知ろう山の旅」等、小学生を対象に計画、実施した。弁当を手に、教科書だけでは学ぶことのできない貴重な体験となった。
 明治から大正時代にかけて、保内町特に川之石は南予地方有数の繁栄した町であった(県下で最初の銀行、四国で最初の紡績工場、四国で最初の電灯、四国で第2の銅鉱等)。今も町内には当時の繁栄ぶりを思わせる町並みが数多く残っている。この町並みを調査研究している「保内まちなみ倶楽部」が、昨年「町並みウォッチング資料展」を開催し、町民に豊かな歴史の町並みの魅力を紹介してくれた。
 保内町の活性化のための人材育成を目的とした生活文化塾「ほない鳴瀧塾」がある。20名で構成され、保内町固有の資源(景観、文化財、伝統芸能、歴史、産業等)を学び、それらを活用した地域の活性化に向けての町づくりの実践を行っている。
 以上、保内町での「愛媛学」への取り組みの一部を紹介したが、子供から大人まで誰もが、いつでも、学校の教室を離れてどこででも、どのような方法でも学ぶことができるのが「愛媛学」であると思う。そして、愛媛に住む我々が、我々の郷土、愛媛を愛する心を養うことによって「愛媛学」は必ず構築されると思う。