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愛媛学のすすめ

3 愛媛学の基本的な性格

 このような今日的時代の要請を受けて、愛媛学はスタートしたわけである。その基本的性格を研究対象・研究方法・研究視点・研究目的からまとめてみたい。

(1)研究対象

 愛媛学が対象とするのは、当然のことながら地域的には愛媛県である。そのとらえ方には、世界・日本の中の愛媛というように外から愛媛を見る場合と県内の瀬戸内の島々・宇和海沿岸地域等というように内側から見る場合とが、図式的には考えられる。さらに、アプローチの仕方としては人文科学的アプローチ・社会科学的アプローチ・自然科学的アプローチもさることながら、学際的アプローチでもって横断的に切り込んでいきたい。研究対象は、地域の歴史・民俗・伝統文化等の一部の領域に偏ることのないように、愛媛県という地域を形づくり、そこで息づき、育ってきたもろもろのものを対象として幅広く取り上げていきたい。

(2)研究方法

 愛媛学は「学」としての科学性・統一性・体系性等をもつ必要があり、既存の学問研究方法を十分に活用する。しかし、それだけではなく、既存の学問の研究方法の枠に捕らわれないで、つまり、学者のみにできるような研究方法ではなく、広く県民誰でも気軽に実施できるものであることが必要である。素人とよばれる方々の参加を得るためには、自分の目や足で調べる方法を考えることが大切なことであり、聞き取り調査や地域観察調査等が有効な方法の一つであると考える。広く県民が調査研究に参加することがまず大切なことであり、その方法や成果の体系化・総合化について専門家の指導助言が必要なことはいうまでもない。つまり、学問・科学としての側面とだれでも実施できるという側面を兼ね備えた研究方法が要求されると考える。

(3)研究視点

 愛媛学では大きく二つの視点を考えている。その一つは、専門家と県民がともに参加して行うものであるということである。愛媛学を県民のものにするためには、県民が主役になって調査研究するものでなくてはならない。そのための援助者・協力者として学者も参加する。地域の住民は自分たちの住んでいる地域については最もよく知っている先生であり、学者はそれを科学としての統一化・体系化を図る先生であるといえよう。両者が協力するということと、より多くの県民が参加するという視点が大切である。
 このことは当然のことながら、地域で地道に調査研究を行っている方々の協力・参加も期待したい。この方たちの貴重な研究成果も活用したい。
 さらに、この調査は、より良い地域をみんなで創(つく)っていこうという視点がある。地域の生活に立脚し、地域住民自ら研究に参加し、その成果は県民に還元されるものであることが大切である。学問のための学問、調査のための調査、また学者にしかわからない調査ではなくて、より良い地域を創っていくためのものにしたい。

(4)研究目的

 研究目的はこれまで述べてきたことから明らかなように、

   ①県民の県民による県民のための学習の実現
   ②地域の中で生活とともに育ったアイデンティティの確立
   ③日本・世界を動かす愛媛の力と役割の把握

を目的としている。つまり、県民の生涯学習の一環として、個人及び地域のアイデンティティを確立し、日本を動かす愛媛の力と役割を明らかにすることを研究目的とする。

愛媛学構想図

愛媛学構想図