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わがふるさとと愛媛学   ~平成5年度 愛媛学セミナー集録~

3 現在の私たちのくらしと平城貝塚のつながり

 私はこの御荘に生まれ育ったが、町内にこのような遺跡があることを全く知らなかった。御荘から古代の遺跡が出るとは、信じられないような気持ちであった。平城のほかにも、水泥など多くの遺跡があることから、この地域が何千年も昔から、近辺の文化の中心地であったことを初めて知ったが、そのような遺跡の存在や意義について、私を含めて多くの地域の人に何の知識もなかったことには、深く考え込まざるを得なかった。
 この人骨が、私や皆さんの祖先であると考えると妙に親しみが感じられる。これらの祖先や、会場の年配者の皆さんの苦労の上に、今の私たちがあることを考えると、この貝塚を守るとともに、お年寄りを大切にしなくてはならないと考える。
 その意味でも、平城貝塚というのは、今の私たちだけでなく、子供にも、そのまた子供たちにも伝えるべき、大きな存在価値があると思われる。先の調査では十分な時間がなかったが、駐車場の下はそのまま残されていることから、今後のより詳しい調査が望まれる。現在の我々は、今この時しか目を向けていないが、今の私たちや未来のことを考えるためにも、平城貝塚をもとに、過去に目を向けていかねばならないと思う。このような機会を通じて発掘を振り返ることで、改めて今の私たちと過去のかかわりを実感した。