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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇東川集落全戸が参加した編集作業の意味

 この『ふるさとの昭和史』の編集作業には、東川集落の全戸が参加する形をとった。
 制作のねらいは、一つは、世代間の対話・意思疎通というものが薄れている現在の状況を克服しようというものである。そのため、各地域別(東川は大きく三つに分かれている)、年代別、男女別のバランスを考え、編集委員会の構成には、かなり気を使った。編集委員会以外の人たちにも、討論や編集作業に関与してもらい、とにかくできるだけ多くの人に参加してもらう体制を取ったのである。
 二つ目は、身近な問題を中心に取り上げていく必要があるということである。町村の役場に行けば、数字的な資料等はかなりあるが、しかし、各集落には、役場の資料にはないもっと身近なものがある。
 たとえば私たちの集落には、常会の議事録が、幸いにもきちんと残っていた(この常会は、昭和14年(1939年)以降、現在も続いている。)。内容は、詳細にわたって完全な形で残っており、14年以降のものなので、戦争関連の事項について、当時の人がどういう考え方、動き方をしたか、またそれに対する当時の時代の動きはどうだったかがうかがえる。常会の活動をたどることで、当時の人々の生活が浮かんでくるようであり、メインの資料として取り上げた。
 三つ目に、全戸を対象にしたアンケート調査を実施した。調査方法も、通常の配布・回収という方法ではなく、編集委員が手分けをして全戸に回り、全員に聞き取り形式で行った。聞き取りというやり方でデータを集めたことで、集落全体に参加意識を高めようという目的もあったのだが、それなりに有効であったのではないかと、考えている。