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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇制作の過程で生み出されたもの、気づいたこと

 まず第一に、昭和という時代を通じて、購入物、食物という面で、非常に変化していることがわかった。また、集落の人々の価値観も変化していることがわかった。昭和20年当時やそれ以前は、経済的な充足が第一番だった。それから次第に、生きがいのある生活へと、スタンスを移してきた。そして今度は、さらにアメニティの充足・快適な生活環境を求めている。
 次に気付いたのは、私たちの地域は、大切な物をたくさん失っているということである。先程申し上げた、民俗行事とか通過儀礼といった地域の伝統文化は、本来は生活をリフレッシュさせる役割を持つ行事であるが、なぜこの40年間に失ってきたんだろうかについても、できるだけのことを考え、議論をしてみた。
 最後に、これは制作のもう一つのねらいでもあったが、各世代間の断絶という問題である。お互いの意思の疎通が十分でないという状況について、編集委員会の中でも、いろんな年代の人が話し合い、「やはり、とにかく話し合いが必要だ。」ということを皆が感じた点で、大きな意義があった。高齢者の方には、価値観の変化していく現代の状況を、柔軟に考えてもらう必要がある。一方では、高齢者が過ごしてきたそれぞれの時代には、一笑に付してしまえない価値観があるということを、若い人は勉強しなければいけない。それをお互いに勉強して話し合うことが必要だということが、合計14回の編集委員会を通じて、皆が一番感じたことであった。その点では、非常に効果があったと思うし、大きな成果ではなかったかと自画自賛している。