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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇人と道のあり方

佐藤
 次に、歩く人のための道の整備について、お話してみたいと思います。
 歴史街道といいましても、国道や県道と重複している区間がありまして、危険な所がかなり残されています。しかも歩道を歩いていると、突然歩道がプツンとなくなってしまったり、反対側に移っていて、どうしても車道を渡らなくてはいけない、というような所もあります。私自身が道を歩いて点検してみて、やはり快適で、安全で、そして連続して歩ける道の整備が本当に必要だと感じました。歩道というのは、基本的には、車道から分離すべきものなのです。
 小松町の道路については、今朝、少し歩いてみました。幸い車が少ないから危険なところは少ないのですけれども、生活に密着した道は、一方通行にするとか、1車線にするとか、一層交通規制をすることが必要だと思います。
 また、歩行者専用道路を、幅は2mくらいあれば十分なのですが、もっと整備することが必要じゃないかと思います。
 あとでも出てくると思いますが、四国88か所の遍路道についても、8年前に私が高松にいた時に、4つの県の道路担当の課長さんたちに集まっていただいて、協議会を作って、整備していこうということで始めました。最近、かなり良くなってきていると思いますけれども、まだ一層の整備が必要かとも思います。
 そのほか、1日、お弁当を持ってゆっくりと歩けるような、20kmとか30kmの散策コースを、地方自治体でも整備して、住民の歩く環境の改善に努めるべきではないかと思います。
 世界で一番散歩好きの国民というのは、ドイツ人ではないかと思います。ベートーベンが作曲で行き詰まった時には、森の中を歩いたという、有名な話が残っておりますように、ドイツ人は日曜日の午後などに、老夫婦が手を取り合って散歩をする風景をよく見かけます。ドイツでは、どんな地方の町でも、散歩道や遊歩道などがよく整備されています。私は、もし70歳まで元気で生きられたら、その少し前くらいに、四国88か所の全区間1,400kmを歩いて、いわゆる歩き遍路で回ってみたいと思っています。それまでに四国の道が、さらに整備されることを願っています。