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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇日米の学校生活の違いについて

 今日は、日本で体験した日米の学校生活での違いを少し話したいと思います。
 一番不思議に思ったのは「なぜ日本の生徒はいつも学校に居るのだろう。」ということでした。生徒は制服を着て毎日毎日夕方遅くまで、土曜日も、日曜日も休日の時でさえ学校に居るのです。「学校がそんなに楽しいのかな。」とも思いました。
 わたしが中学生の時は、終業のベルが鳴ったらすぐに家に帰っていました。わたしは自分の時間を大切にしていました。週末にはスポーツをしに学校に行くことはありましたが、日課としてスポーツをしに学校へ行かなければいけないということはありませんでした。アメリカでは夏休み中は生徒は、学校にも行かないし、宿題も出されません。
 こちらで宿題をしている生徒や、夏休み中も毎日学校に来ている生徒を見て「どうして学生はいつも学校に居るのだろう。」という疑問への答えは、先生方の指導にあるのではないかと思いました。つまり、先生方の指導が厳しいのかなと思いました。
 英語の「vacation」つまり休暇とは全然仕事をしないという意味なのです。休暇とは自由な時間ということです。それで、生徒がいつも学校にいるというのは、先生方が生徒の自由を奪っているのではないかと、わたしは先生方に少し腹立たしさを感じていました。
 しかし、時間がたつにつれて、わたしはあることに気が付き始めました。それは先生方もいつも学校にいるということでした。先生方は夏休み中も毎日学校に来られていました。新学期になり、学校が始まっても遅くまで学校にいらっしゃるのです。実際先生方にあまりにも多くの仕事があるのにはびっくりしました。ほとんどの先生方はスポーツの指導をしたり、毎日24時間生徒に対する責任を負わなければなりません。わたしは本当に先生方は大変だなあと思い始めました。そのことを友人の一人に話しました。するとその友人は「仕事があるから、家に帰って家の雑用をしなくていいしね。」と苦にはしてないようでした。
 次にわたしは、校長先生が先生方に居残りをさせているのだと思いました。しかし、校長先生も居残りをし、朝は先生方よりも早く学校に来られていることに気が付きました。そしてついに「ああ、これは教育委員会のせいに違いない。」と思いました。でも教育委員会の方だってみんな同じような状況だったのです。そして最初わたしが抱いた疑問は、次第にそんなにも献身的に仕事に励んでおられる人たちに対しての尊敬の念へと変わっていったのです。