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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇日本の学校生活で驚いたこと

 日本の学校のことでわたしが驚いたことをもう少しお話しします。
 一つは、学校で掃除の時間があるということでした。この時間に別の授業が受けられるのにその代わりに、日本の生徒は強制的な労働を強いられていると思いました。アメリカでは生徒は学校の掃除のことなど考えなくてもいいのです。もしも、生徒が掃除を強制されているとしたら親たちは黙ってはいないでしょう。おそらく、「わたしの子供は、学校には数学や社会などの勉強を先生に習いに行っているのですよ。学校で掃除をしていたのでは何も勉強できません。」と抗議をするのではないでしょうか。しかし、これは生徒が学校をきれいにしようとする責任感を奪うことになるかもしれません。わたしが通った学校は、毎日帰るころになると紙くずが散らかっていたのを覚えています。日本の生徒はもしゴミを散らかせば自分たちで片付けなければならないことが分かっているのです。結局こういうことが自分たちの手でいつも学校をきれいにしているというプライドを生徒に持たせているのだと思います。日本の学校は生徒にどう生きたらいいのか、またどうやってみんなと力を合わせて何かをやり遂げたらいいのか、ということを学ばせているように思います。そんな精神が自分たちの社会をつくり上げているように思います。
 二つ目は、日本の生徒には制服があるということです。わたしが通った学校では制服がありませんでした。好きな服装で学校へ行きました。それで、愛校心というものもあまり無かったのかもしれません。
 三つ目は、日本の先生方はいつも生徒に対して責任感があるということです。ある生徒が店で何かを盗んで補導された時はびっくりしました。親が呼び出されたのではなく担任の先生が呼び出されたのです。アメリカでは教師は、そういった生徒には何の責任も負いません。学校の外で何か問題が起こったとしても学校側はその事実さえ知らないことが多いと思います。