データベース『えひめの記憶』
県境山間部の生活文化(平成5年度)
2 調査結果の要約
(1)地域に対する意識について
○ 地域に対するイメージは、「自然に恵まれ、美しいところ」というプラスのイメージが強い。その反面「不便で、古臭
く、狭いところ」というマイナスのイメージも存在している。瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域と比べると「明るい、おだや
か」のイメージが若干弱い。
○ 地域のイメージを色に例えると、「緑(野山)」が圧倒的に多く、瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域の特色であった「青
(海)とだいだい色(みかん)」のイメージは弱い。
○ 住み良さと魅力については、相当高い評価をしており、両者は相互に関連しているが、魅力の方が若干低い。さらに、高
齢者ほど住み良くて魅力のあるところと思っている傾向が強い。
○ 魅力を感じる要素としては、「人情」「風景や名所」「気候」を挙げている。反対に魅力に欠ける要素としては、「経済
的活力がない」「良い就職先がない」「生活が不便」を挙げている。瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域と比較すると「人情に
厚いところ」という印象が強い。
○ この地域の人々の気質は、調査地が東・中・南予にまたがっているにもかかわらず、南予人気質といわれる「温和で人情
味に富み、物事に慎重であるが、消極的である。」が強い。
○ 地域活動へは、かなりの人が何らかの形で参加している。瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域と比較すると若い層ほど良く参
加している。
○ 近所づきあいについては、「なにかにつけ相談したり、助け合えるようなつきあいが望ましい。」が多い。
(2)家庭生活に対する意識について
○ くらし向きについては、10年前はちょっと苦しかったが、現在は普通で、将来は10年前よりずっと苦しくなると思って
いる人が多い。瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域の人々より、過去・現在・将来とも生活は苦しいと判断している人が多い。
○ 満足度の高い項目は、「家庭の人間関係」「自然環境」「地域の人間関係」「健康状態」「住宅」を挙げ、低い項目とし
ては、「交通」「収入」「保健医療」「教育文化施設」を挙げている。瀬戸内の島々や宇和海沿岸地域の人々と比べて、
「自然」に対する満足度が高く、「収入」に対する満足度が低い。
○ 親と子との同居については、約86%が肯定的な考え方であり、現実には約40%の人が同居している。
○ 同居の理由としては、「昔からの慣習であたりまえ」と考えている人が圧倒的に多い。同居をしない理由としては「若い
者の仕事場がない」が多い。
○ 将来の生活に対する不安については、「老後の健康問題」を過半数の人が挙げている。
○ 県や市町村に対する要望としては、「社会福祉・老人対策」「地域の開発」「道路・交通対策」「物価・くらし向き対
策」「生活環境」が上位を占めている。
(3)個人としての生き方・考え方について
○ 個人の生き方・考え方については、「法事や墓参りをきちんとする」「家庭の団らんの場を大切にする」「村祭りやひな
祭りなど大切にする」が上位を占め、「欲しいものには金をかける」「結婚した女性は家庭のことに専念すべきだ」「信仰
に関することはしない」は下位に位置している。つまり、伝統や慣習を重んじ、家庭の団らんを重視し、仕事優先の経済的
な生活志向がうかがえる。
(4)生活実態
○ 生活時間は、朝6時から7時ごろまでに起きて、7~8時間働き、夜9時から11時ごろ寝るのが一般的である。しか
し、若いものほど「遅寝遅起き」である。
○ 一家の生活費(1か月)は、10万円から20万円の間が一番多い。
○ 購入活動について県境山間部全体の平均でみると、80%以上居住町村内で購入(自給)されているものは、米と野菜の
みで、電器・家具・衣料品・自動車・化粧品等については、50%以上が他の市町村で購入されている。今回の調査対象14
町村のうち、80%以上を居住町村内で購入(自給)している品目が皆無の町村が3町村、1品目のところが2町村ある。