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身近な「地域のたからもの」発見-県民のための地域学入門-(平成22年度)

(2)現地調査の仕方

 ア 地形図を読む

 現地調査には、地形図を持って行きます。地形図は、見るだけでなく読んでみましょう。それは、「今、立っているところの標高は何mか。」、「地形はどのようになっているか。」などを地形図から読み取るということです。地形図を読むには少し練習が必要ですが、慣れてくると地形図を見ながら、その地域の人々の生活の様子をある程度想像することができるようになります。
 地形図を読むときには、次のことに注意しましょう。

 (ア)縮尺を確認する

 例えば、2万5千分の1の地形図なら地図上の長さ1cmは実際の長さ250mに相当し、5万分の1の地形図なら地図上の長さ1cmは実際の長さ500mに相当します。

 (イ)地図記号を確認する

 地図には、いろいろな記号が使われています。それらの地図記号をこまかく見ていくと、位置だけでなく、土地利用の様子もよくわかります。地図記号は、現在では約170種類もありますが、主な地図記号は地形図の余白部分に載っているので確認しましょう。

 (ウ)等高線の様子から地形を確認する

 等高線は同じ高さの点をつないでかいた線のことです。等高線は、2万5千分の1地形図では10mごとに引かれ50m間隔で太線が引かれています。また、5万分の1の地形図であれば、等高線の間隔は20mごとになります。等高線の間隔が広いと傾斜がゆるやかで、逆に間隔が狭いと傾斜が急になります。

 (エ)地形と土地利用を確認する

 等高線や地図記号を基に、地形や土地利用を確認しましょう。土地利用は色鉛筆で区分し、集落は赤、田は緑、畑は茶、果樹園は橙というように着色するとよいでしょう。 

 (オ)地名を確認する

 調査地域の地名を確認し、地名の由来を調べましょう。地名の由来は、集落の起源や集落の機能、地形や自然環境などと密接な関係があることが多いため、地域調査の手がかりになります。

 イ 現地調査を行う

 現地調査では、調査地域の全体像を把握するとともに、調査を行う対象の特徴を調査・記録する必要があります。まず、現地へ行ったら地域をゆっくりと歩くことから始めるとよいでしょう。歩きながら周辺の景観や音、街の匂(にお)いなどをじっくりと確認します。調査対象以外でも気になるものを見つけた場合は、すぐに記録しておきましょう。現地調査の途中で、お寺や神社があればぜひ立ち寄りましょう。昔の景観がよく残っている場所なので、調査対象に関する大きなヒントが得られるかもしれません。
 疑問に思うことがあれば、そこで出会った人に質問をしてみましょう。できれば高齢者の方に聞いてみることをすすめます。高齢者の方は、地域の歴史や文化に詳しく、自分の体験に基づいた話をしてくれることが多く、自分が知らないことでも、そのことについて詳しい人を紹介してもらえることがあります。

 ウ 博物館を見学する

 博物館は、地域の歴史や文化に関する資料や民具・生活資料などを展示するだけでなく、地域の歴史や文化についての調査研究を行い、その成果を展示したり報告書にまとめたりもしています。そのため、調査テーマに関することや調査対象の時代背景などを勉強することができます。さらに、調査活動の相談にも応じてもらえるので、調査地域に博物館があれば、ぜひ利用することをすすめます。
 博物館内での写真撮影は、原則として禁止されているところが多いものの、撮影を許可してもらえる場合もあるので確認しましょう。写真に撮れない展示物は、スケッチをして細部まで観察しましょう。また、説明板も見落とさないようにして、必要な部分はメモを取りましょう。