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河川流域の生活文化(平成6年度)

(1)地域のイメージ

 河川流域の人々が、自分たちの住んでいる地域に対してどのようなイメージを抱いているかを把握するため、10個の言葉について質問し、それぞれの結果を加重平均し、イメージ指数を求めた(図表2-2-1参照)。それによると、プラスイメージとしては、①おだやか45.9、②自然34.3、③明るい25.6、④美しい24.4、⑤豊かさ23.0、⑥潤い21.0などが、上位を占めている。マイナスのイメージとしては、「新しい」-13.2が挙げられる。これを、昨年度までの「山間」「宇和海」「瀬戸内」の調査と比較すると、「自然」「美しい」のイメージがやや弱く、「豊かさ」「潤い」のイメージが強い。また、数値は低いが、「便利」が初めてプラスとなっている。
 全般的に言うと、「河川流域」は他地域に比ベイメージが分散しており、その中でも「美しい自然」としてのイメージはやや弱く、「おだやかで豊かな潤い」のある地域としての見方が強いと言える。これは、昨年度までの3地域が、おおむね郡部の農林漁村地域が主要対象地域であったのに対し、今年度は、市部を多く含んでおり、また河川沿いの陸上・水上交通により、古くから商工業の発展した地域が多いことにもよると思われる。さらには、戦後の護岸工事・道路建設等により、生活が向上する一方で、河川環境が問題となるなどの、地域や生活の変貌と、それに伴う住民の河川に対する関心の変化も影響しているのではなかろうか。
 図表2-2-2は、前述のイメージ指数において、各市町村間で特に数値が大きく異なる項目を(数値の信頼度が高いものに限って)示している。これを見ると、全般的には大洲・西条におけるプラスイメージがどの項目でも高いことがわかる。これは、「河川流域」としてのイメージ調査であったため、水郷大洲とか親水都市西条などのイメージがプラスに働いたためではなかろうか。他の町村については、五十崎・内子、東予・小松・丹原、河辺・肱川、重信・川内・砥部は、地理的に隣接し各項目の数値でも明らかな共通性が認められることから、それぞれ同一グループとしてとらえてよいであろう。また、河口の臨海地域である西条・長浜・東予と、それに対する内陸市町村、特に肱川・河辺・中山・内子などの山間に集落がある地域では、それぞれのグループ間での共通性と、他のグループとの相違を見い出せるように思われる。これらのグループ分けは、後述する他の質問項目でも適合しているように思われる。
 具体的には、「美しい」というイメージは肱川流域では全般的に高いが、重信川流域では低い。「自然」というイメージは、必ずしも「美しさ」と強い相関関係はなく、五十崎・東予等は「美しい」が高く「自然」が低いが、肱川・河辺・中山・内子などの山間地域は、「美しい」イメージよりも「自然」のプラスがかなり高い。「明るい」「広い」は、西条・長浜・東予の臨海地域のプラスが高い。逆に山間地域は、「広い」のマイナスイメージ(狭い)が強い。「豊か」と「潤い」のイメージは強い相関関係にある。特に、大洲・西条・長浜が両方とも高い。また、丹原・小松・内子・宇和等の、田園風景や著名な農産物のイメージが強い地域の数値が高いように思われる。
 次に、地域のイメージを色に例えてみると、①緑色(47.3%)、②水色(32.9%)、③青色(26%)が多い(図表2-2-3参照)。これまでの調査と比較すると、第1位の緑色のイメージは「山間」に比べやや弱いが、「宇和海」よりは強い。第3位の「青色」は「宇和海」「瀬戸内」と比べ数値が低い。ここでもイメージの分散傾向が見られる。どちらかというと、海の「青色」に対して、川の「水色」というイメージが強いのではないかと思われる。

図表2-2-1 イメージ指数(地域別)

図表2-2-1 イメージ指数(地域別)


図表2-2-2 イメージ指数(市町村別)

図表2-2-2 イメージ指数(市町村別)


図表2-2-3 色に例えた印象(地域別)

図表2-2-3 色に例えた印象(地域別)