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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

1 地域のイメージ

(1)言葉による地域のイメージ

 「臨海都市圏」の人々が、自分たちの住む地域に対してどのようなイメージを抱いているかを探るため、「明るい」「美しい」など10種類の言葉と地域のイメージとの近さを尋ねた。それぞれの結果を加重平均して「イメージ指数」を求めたところ、「おだやか」39.2、「自然」34.7、「明るい」27.7、「美しい」25.3などのプラスイメージが上位を占めた。また、「新しい」-13.2(=古い)、「広い」-11.8(=狭い)といったマイナスのイメージも見られた。
 この結果を、昨年度までに調査した『瀬戸内の島々』『宇和海』『県境山間部』『河川流域』の結果と比較すると(図表1参照)、全般的には『河川流域』と同じような傾向が見られ、他地域に比べてイメージが分散している。さらに『河川流域』と比べると、「広さ」がマイナスになっているほか、「豊かさ」「潤い」「便利さ」がそれぞれ弱く、全体のイメージを一言で表現しにくい。また、『瀬戸内の島々』『宇和海』『県境山間部』と比べると、「美しい」「自然」のプラスイメージ、「古い」「不便」のマイナスイメージともにやや弱い。
 これは、『瀬戸内の島々』『宇和海』『県境山間部』の調査対象地域が郡部の農山漁村中心であったのに対し、『河川流域』は市部を多く含み、河川沿いの交通の発達に伴って古くから商工業が発展しており、「臨海都市圏」との共通性が見られるためと考えられる。「臨海都市圏」の中にも、商工業中心の都市と、その近郊にある市町村が含まれていることから、全体としてのイメージが明確には表れにくかったと思われるが、概観すると、臨海都市圏の人々は、「まあまあおだやかで自然の豊かな所で、ほどほどに明るく美しい。」という、適度な好感を抱いていると言える。
 また、回答者の年齢層別に「イメージ指数」を見ると、「明るい」「美しい」「新しい」「便利さ」などで年齢層による差異が顕著であり、年齢層が高くなるほどイメージがよくなる傾向が見られた(図表2参照)。
 さらに、「美しい」「便利」「自然」について、市町村間で「イメージ指数」を比較してみると、①3項目すべてがプラス(松山市、今治市、松前町)、②3項目すべてがマイナスかプラスでも低い値(新居浜市、川之江市、伊予三島市)、③「美しい」「自然」はプラスで高い値だが「便利」はマイナス(残りの9市町村)、という三つに大別できる。①は「都市型の公園や自然景観が整備された便利な都市」、②は「重厚長大型の臨海工業地帯の都市」、③は「自然に恵まれているが、都心に比べてやや不便な都市近郊」といったそれぞれの地域の特徴を反映した結果になっている(図表3参照)。

(2)色のイメージ

 次に、地域のイメージを色に例えてみると、「緑色」49.4%、「青色」34.2%、「水色」29.4%、「黄緑色」16.9%の順であり、全体としては「水と緑に囲まれた自然豊かな地域」というイメージと一致している。また、昨年度までの一連の調査結果と比較すると、上位2色でイメージのはっきりしていた『瀬戸内の島々』(緑、青)、『宇和海』(青、緑)、『県境山間部』(緑、青)に比べると色のイメージの分散傾向が見られ、『河川流域』と同じような結果となった(図表4参照)。
 また、各市町村の上位3色(同率の場合は4位まで)とその比率を比較すると、「イメージ指数」の結果と同様に市町村間の差異が顕著である。玉川町や朝倉村の「緑色」、双海町の「青色」のように、1色のイメージが強い所もあれば、その他の色にも分散して多様なイメージを示す所もある。さらに、川之江市(①灰色、②緑色、③白色)、伊予三島市(①灰色、②茶色、③緑色)、新居浜市・伊予市(①緑色、②青色、③水色、③黄色)、土居町(①緑色、②水色、③黄緑色)などのように、他の市町村とは異なる色が上位を占めている所も見られ、臨海都市圏の多様な一面が感じられる。

(3)住みよさと地域の魅力

 「今住んでいるところは、住みよいか。」という問いに対して、今回は63.3%の人が住みよいと答えている。また、これまでの4地域と「住みよさ指数」を比較してみると、「臨海都市圏」の40.6という結果は『河川流域』の44.7に次いで高く、県内の他地域に比べて「住みよい」という意識が高いことがわかった(図表5参照)。
 市町村別に比較してみると、どの市町村も「住みよさ指数」はプラスで、20以上の高い値であるが、とくに、今治市(57.3)、松山市(53.1)、土居町(51.0)の3市町が50を超えた高い値を示した。
 「今住んでいるところに、どの程度魅力を感じるか。」という問いに対しては、54.5%の人が魅力があると答えており、他の4地域と「地域の魅力指数」を比較してみると、「臨海都市圏」の22.3という結果は『河川流域』の27.8に次いで高い(図表6参照)。
 「住みよさ指数」と比べると、全体ではほぼ20ポイント低い値を示しているが、市町村別に比較してみると、朝倉村(地域の魅力37.9/住みよさ47.3)、波方町(35.0/39.0)、土居町(33.0/51.0)の3町村は両指数ともに高い値を示しており、「たいへん魅力的で、とても住みよい」と感じていることがわかる。

図表1 イメージ指数〔言葉による地域のイメージ〕(地域別)

図表1 イメージ指数〔言葉による地域のイメージ〕(地域別)


図表2 イメージ指数〔言葉による地域のイメージ〕(年齢層別)

図表2 イメージ指数〔言葉による地域のイメージ〕(年齢層別)


図表3 イメージ指数〔美しい・便利・自然〕(市町村別)

図表3 イメージ指数〔美しい・便利・自然〕(市町村別)


図表4 色のイメージ(地域別・市町村別)

図表4 色のイメージ(地域別・市町村別)


図表5 住みよさ指数(地域別)

図表5 住みよさ指数(地域別)


図表6 地域の魅力指数(地域別)

図表6 地域の魅力指数(地域別)