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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

1 削り節日本一

 明治末期のころまで家庭の調味料やそうざい用として、主にカツオ節、チリメンジャコ、小羽(こば)(小形)煮干しイワシなどが使われていた。しかしカツオ節類は手削りのわずらわしさがあり、チリメンジャコは高級品であった。そこで大衆向けの便利な調味料として考え出されたのが、豊漁のときなどには、肥料や飼料として使用していた中羽(ちゅうば)(中形)、大羽(おおば)(大形)イワシを、煮干(にぼ)しまたは節(ふし)に製造し、薄片状(はくへんじょう)に削る削り節であった(①)。
 従って、削り節は原料魚の種類により、カツオ削り節をはじめ、サバ削り節、ムロアジ削り節、ソウダガツオ削り節、イワシ削り節などに分けられるが、総称して「花かつお」(花とは薄片のこと)の商品名が用いられてきた。
 ところが、昭和43年(1968年)、日本農林規格(JAS)の規定で原料表示が必要となり、そのため、本ガツオ、ソウダガツオを原料としたもののみを「花かつお」と称し、他の原料によったものは「削り節」と総称することとなった(②)。
 この項では、県内最大の削り節の産地であるとともに、全国第1位の生産量(平成6年度は約3,400tで、これは全国生産の約6割にあたる。)をほこる伊予市を舞台に、「郡中(ぐんちゅう)の花かつお」として世に出た削り節業が日本一に発達した過程と、そこに生活する人々とのかかわりを追った。