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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

第1節 地場産業を支える人々

 愛媛の代表的地場産業である製紙、タオル、造船業は、海上交通の要である瀬戸内海に面した地域で発展してきた。本節は、こうした発展を支えてきた人々の地道で創造的な歩みを明らかにしようとした。
 「1 西の紙都」では、伊予三島市と川之江市を取り上げて、合成化学繊維紙(*1)の開発以来あらゆる素材を紙にする技術開発に取り組んできた親子二代の姿や、機械すきながら和紙の風合(ふうあ)いを求めて品質の向上に努めようとする取り組みを描いた。また、紙文化の新しい地域の拠点としての「紙のまち資料館」にも言及した。
 「2 『西洋手拭い』は今」では、今治市を舞台に、戦前から戦中、戦後にかけてタオル一筋に歩んできた人々のタオルにかけた情熱と意気込みを描いた。また、革新織機(*2)の開発など当産地の発展を支えてきたその取り組みにも触れた。
 「3 造船のまち」では、今治市を取り上げ、機帆船(*3)から内航の鋼船化、さらに近海、外航船の建造へと飛躍的発展を遂げてきた愛媛の造船業の歩みと、それを支えてきた人々の研究心おう盛な取り組みを描いた。また、進水式の華やかさを通じて、心に残るもの造りの喜びにも言及した。


*1:化学繊維は石炭、石油などを原料に化学的に合成したものである。合成繊維は、化学繊維の1種で、ナイロン、ビニール
  などがある。
*2:杼(ひ)を使用しない無杼織機で高速回転で生産性の高い織機である。
*3:木造帆船にエンジンを装備した小型船舶