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愛媛の技と匠(平成9年度)

第3節 つやと色合いの技

 朱や漆黒(しっこく)のつややかな色合い、温かみのあるふくよかな手ざわりの漆器、目に染みる鮮やかな藍色(あいいろ)、さらりとして温(ぬく)もりのある絣(かすり)や縞(しま)木綿、いずれも日用品としてわたしたちの生活文化を支えてきている。ここでは、愛媛に生まれ育った漆器と染織を取り上げ、そのたどってきた歴史や地域に及ぼした影響を探るとともに、現在、その製作に携わる匠たちの技を紹介し、その産業にかかわる人たちの生き様について考えようとするものである。
 「1 塗りの色つや」では、桜井(さくらい)漆器について、恵まれない条件の中から起業していくたくましい企業家精神をしのび、現在活躍する匠たちの生き様と、時代を見据えて漆器業の新しい展開を模索する企業家の姿に焦点を当てることにした。
 「2 染めの味わい」では、かつて我が国の三大絣の一つとして隆盛を誇った伊予絣と宇和海を臨む地で機織られた狩浜(かりはま)木綿について、その創製から盛衰をたどるとともに、今まで活躍してきた匠たちの技と生き様、絣の世界に伝統の再生と新しい価値を生み出すべく挑戦する人々の取り組みを、明らかにすることとした。