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愛媛の技と匠(平成9年度)

第4節 素朴さと華やかさの技

 この節では、まず本県の伝統的特産品に指定されている品目の中から、竹工芸品と水引および水引細工・金封(きんぷう)づくり(昭和55年)を取り上げ、鍛えた技をさらに磨きつつその製作に取り組んでいる職人の思いを探った。また、現在我が国でも九州・四国の限られた地域にのみ残っている木ろう(ハゼろう)づくりや、数少ない和ろうそくづくりの伝統の技を守り続けている職人を取り上げ、気質やその生きざまを浮き彫りにした。
 「1 しなやかさとつやを生かして」では、松山地方の特産品であり、「黒もの」と呼ばれて、茶道具や花籠(かご)として愛好されている竹工芸品の製作に、長年にわたって取り組んでいる業界の代表的な職人の技や素顔に迫った。
 また、木ろうの製造・さらし業に携わっている職人の仕事振りや、数少ない手づくりの和ろうそく職人の、地味で忍耐強い作業の様子や生きざまを浮き彫りにした。
 「2 人生の節目を見つめて」では、長野県飯田市とともに我が国の二大生産地の一つとなっている宇摩地域(川之江市・伊予三島市)の水引・水引細工・金封の生産に取り組んでいる職人を取り上げた。特に、宇摩地域でただ一人、昔ながらの手こぎの技術で元結(もとゆい)をつくり続けている職人の技と生きざまに焦点を当てるとともに、水引細工の伝統工芸士(現代の名工)としての仕事と紙加工業の経営を両立させながら、紙加工の実際や業界の歴史と現況などに、幅広く奥行きの深い知識を持つ職人をクローズアップした。