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愛媛の技と匠(平成9年度)

第1節 まちづくりの核として

 本節では、「技と匠」を近代的な工場の中に求め、地域とともに歩んできた工場や、町工場として起こり、その後工業団地へ移転してきた工場に焦点を当て、それらが地域社会に果たしてきた役割と、そこで働く人々の様子やくらしぶりの移り変わりを明らかにしようとした。
 「1 夢を育(はぐく)んで」では、まず、農村に進出した工場として、近永(ちかなが)のアルコール工場(北宇和郡広見(ひろみ)町)を取り上げ、時代の移り変わりに敏感に反応しながらたどってきた歴史のひとこまを、従業員の目をとおして振り返った。次に北条市にある紡績工場を取り上げ、そこで若き日の夢を紡いできた乙女たちの日々のくらしの変遷の様子を追った。
 「2 キュポラのある風景」では、今なお松山市の中心部で操業する鋳物工場と、県内各地から同業者が移転して形成された愛媛銑鉄鋳物工業団地(周桑(しゅうそう)郡丹原(たんばら)町)を対比させ、戦後の愛媛県産業経済の移り変わりの一端を探った。