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愛媛のくらし(平成10年度)

(1)初夏の風をうけて

 ア 本丁朝市

 5月の第4日曜日は、本丁商店街が毎月第4日曜日に開いている本丁朝市の、年に一度の記念大会の日である。**さんに話を聞いた。
 「本丁朝市は、今年で12年目だと思います。毎月第4日曜日の朝9時から11時半までの間、本丁通りで、町立病院と役場前をはずした120mの区間を歩行者天国にしてやっていまして、その記念大会を年に1回5月にやっています。
 毎月の朝市で店を出すのは、実行委員会のメンバー約20名と、その時々に参加する5名くらいです。スペースはいっぱいありますから、一般の人もどうぞ、という感じで、フリーマーケットもやっとりまして、たまに手作り品とか不用品などが出ます。
 設営も、会員はだいたい自前で机などをそろえてますが、それ以外の分は商工会から借りてこなければならず、それが多くなると、なかなか大変です。幟(のぼり)もいろいろなとこへ立てていかないかんですし、そうした準備を、最初慣れないうちは7時くらいからやってたのが、最近は8時半くらいに出て、たたっとできるようになりました。みんな、自分の持ち分がわかったということでしょうかねえ。音楽を流すスピーカーも、最初のころは毎回電信柱に取り付けていましたが、今は『れんが通り』(本丁から本町までの商店街)にスピーカーを常設して、一括、あるいは各地区ごとに放送ができるようになりましたので、楽になりました。
 朝市の費用は毎月徴収します。会員は3,000円、本丁以外の商工会員は500円、自分が作ったものを売る生産者は300円、一般のフリーマーケットは50円です。
 5月の記念大会で特別なことというと、餅まきくらいです。まあこのときは比較的強力に出店者を募りますから、出店者が一番増えます。朝市の広告を毎月開催日前日の新聞に入れてますが、普段の月ですと、会員店なんかでも『今月はお休みさせていただきます。』というような広告を載せるとこが必ず2、3軒あるんですけど、記念大会のときはほとんどが参加してくれます。お客さんは記念大会で600人くらい、普段の月ですと、その半分くらいですけど、何よりも歩行者天国がお客さんに受けてます。この辺りに将来の商店街のあり方の一つの鍵(かぎ)があるようにも思います。」

 イ 鬼子母神祭

 6月上旬の日曜日、立間尻の一乗寺では、子供の成長と健康を願って鬼子母神(きしぼじん)祭が行われる。安産子育て等の神、鬼子母神は、人の子を食う鬼神であったが、釈迦の巧妙な諭(さと)しによって前非(ぜんぴ)を悔い、子供を守る善神に生まれ変わったという言い伝えがあり(④)、今も熱心な信仰を集めている。**さんに聞いた。
 「鬼子母神は、正確には子安鬼子母神とよばれる子育ての神で、その御加護(ごかご)で子供を健康に成長させたいという方々が氏子になられるわけです。以前は病弱なお子さん方によく来ていただいてたですね。鬼子母神信仰は東京が中心ですが、全国的には日蓮宗の寺の8割方がお祀りしています。
 縁日は本来は4月8日ですが、ちょうどお釈迦様の生まれた日になっていますし、4月、5月は年度始めで忙しいですから、少し落ち着いた6月8日ころの日曜日にしています。お参りの方には、一人一人鬼子母神堂に上がっていただいて、お経を上げながら、健康で学業も頑張れるようにというような加持(かじ)祈禱をし、お札と供物(くもつ)をお渡しいたします。以前は、吉田町だけでなく津島、広見、三間(いずれも北宇和郡)、野村(東宇和郡)あたりからもお参りがあり、朝は町外から、午後は町内からと分けられるくらいでしたが、今はその5分の1くらいになっています。
 昔は、こうした神社やお寺の行事が生活の中に組み込まれていて、『今日はどこそこへ行けるぞ。』とか『帰りには、あそこで御飯を食べられる。』というのが楽しみで、うきうきとして来てくれていたんですが、今は行く所がいくらでもあるようですから……。」