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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

6 その他の平野

 宇摩平野と新居浜平野

 燧灘沿岸には周桑・西条平野のほか、東から宇摩平野・今治平野が分布する。これらの平野のうち宇摩平野は、川之江市から土居町にかけておよそ一六㎞の長さをもつ狭長な平野である。平野の南縁は石鎚断層崖によって境され、ほぼ直線状の境界をなしている。平野の形態は中央部でくびれた形となり、最も幅のせまい伊予三島市寒川町付近では幅が一㎞しかない。
 平野の地形は台地化した古い扇状地と金生川や関川沿いの沖積低地とから成る。南側の赤石山脈や法皇山脈の斜面から流れ出ている小河川などによってつくられた古い扇状地面は、全体として千分の十~千分の百程度の傾斜をもっていて、これらの扇状地を流れる各河川は扇状地面を五~六mも刻み込んでいる。関川や金生川沿いの沖積地も古い扇状地を
刻んで流れており、東部の金生川沿いの地域では、古い扇状地と現在の川沿いの低地との間に約一〇mの高さをもつ明瞭な崖が形成されている(写真2―20)。
 新居浜平野でも平野の南縁に石鎚断層崖が発達し、扇状地や開析扇状地が分布する。国領川の石岸にあたる新居浜市高須付近では、古い扇状地と新しい扇状地との境界に崖が形成されず、古い扇状地の部分に火山灰起源の音地土壌が乗ることによって区別される。平野南部の岸ノ下や萩生付近では扇状地が活断層によって切られていて、ほぼ東西方向にのびる低い断層崖が形成されている。崖の高さは一○m前後で、国鉄予讃線や国道一一号線の車窓からもはっきりと見ることができる。この岸の下にはところどころに泉が湧き出していて、湿地の形成をみる(写真2―21)。
 海岸付近の地形は、大正時代までは白砂青松の続く砂浜海岸であったが、その後の著しい埋め立てにより現在はほとんど原型をとどめない状態になっている。特に、御代島・垣生山・久貢山・黒島などは長年の干拓や埋め立ての結果、本来の島の状態が陸続きの土地に変化してしまっている(写真2―22)。

 今治平野と北条平野

 今治平野には蒼社川や頓田川が流れる。蒼社川の上流には玉川ダムがあるが、その付近から平野が広がるまでの谷底平野の地域には明瞭な河岸段丘が比較的広く発達し、更に上流側の玉川町日之浦から中通にかけての小盆地には顕著な棚田がみられる。平野部は扇状地性の低地で、両河川は平野中央部で天井川化している。平野部には広い範囲にわたって条里制遺構と考えられる碁盤目状の地割りが認めらわる。海岸線は単調な砂浜海岸で、蒼社川の左岸側には小規模な埋め立て地が造成さわている。
 斎灘に面して発達する北条(風早)平野には立石川・河野川・粟井川などの河川が流れる。平野の地形は他の平野と同じく扇状地性で、海岸部には、小規模な砂堆が形成されている(写真2-23)。