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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

一 農・畜産業の地位と特色

 農牧業の地位

 愛媛県は、地形や気候の地域差が大きいことから、多彩な風土環境のもとにある。このため県内では各種の農牧業が展開している。まずはじめに、農牧業の全国に占める地位と特色をみてみよう。
 各種の項目について、全国に対する一〇〇〇分比と、それぞれの順位を示した(表4-1)。面積や人口・耕地面積などは全国の一三‰から一五‰で、全国順位は二五から二七位である。県内の農畜産物で全国的に地位が高いのは、なんといっても柑橘類である。みかん・なつみかん・いよかん・ネーブルともに全国一位であって、はっさくも二位である。果樹では、くり(二位)・びわ(四位)・かき(一〇位)・もも(一二位)なども全国的地位は高い。畜産業では養豚業・養鶏業が盛んで、ともに全国の二五‰を占める。穀物では、水稲の作付面積は広いがその全国的地位は低い。裸麦・とうもろこしは作付面積は狭いが、全国屈指の産地となっている。野菜は二八位で全国の中位に位置するが、そのなかで地位が高いのは、たまねぎ・えんどう・さといもなどである。工芸作物では、かつては、こうぞ・みつまたなどの全国的地位が高かったが、現在これらは衰退し、葉たばこの全国的地位が高い。

 農牧業の四本柱

 愛媛県の農業粗生産額の最近二〇年間の推移をみると、稲作の地位が低下し、果樹・畜産・野菜が急激に伸びている。昭和五四年現在の粗生産額の構成比は果樹三〇・六%、畜産二六・六%、稲作一九・三%、野菜一一・一%であり、この四部門が県内の農牧業を支える四本柱である。なかでも果樹は、先にふれたように全国的地位がきわめて高い。


表4-1 愛媛県農牧業の全国における地位(昭和55年)

表4-1 愛媛県農牧業の全国における地位(昭和55年)