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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

3 貿易

 輸入超過県愛媛

 愛媛県の貿易は、戦後一貫して輸入が輸出を大幅に上回っており完全な輸入超過県である。輸出については、戦前は製糸、戦後は人絹が中心であったが、昭和三〇年代になると化学肥料・タオル・機械類が中心となってきた。現在では県内五つの貿易港から多様な製品が輸出されている。松山港では化学工業品、今治港や宇和島港では船舶、新居浜港ではビデオ・テレビ・荷役機械、三島・川之江港では新聞用紙がおもな輸出品である。
 いっぽう輸入では、昭和三三年には丸善・太陽石油のための原油と、住友金属のための金属鉱石が大半を占めていたが、現在ではこれらの輸入量が一層増加している。このほか今治市のタオル工業のための綿糸、伊予三島・川之江市の製紙業原料のチップ・木材などの輸入が新たに加わった(表6―16)。

 船舶・電気製品の輸出

 戦後における輸出入額の推移を見ると、昭和三〇年には輸出一四億円、輸入二三億円であったものが、その後増加を続け、五五年には輸出一八〇〇億円、輸入四〇〇〇億円にまで増加した。輸出額の増加に大きく寄与したのは、三四年から始まった船舶の輸出と、四八年からのカラーテレビ、近年におけるビデオテープの輸出で、県内の工業生産の変化を反映している。また輸入額の増加は、原油量の一層の拡大と、木材・チップなどの新たな輸入品の増加によっている。輸出国の推移を見ると、三〇年ではアジア地域が全体の三分の一を占め北米の一七%を上回っていたが、これは化学肥料のアジア地域への輸出による。現在では北米が全体の四〇%を占めて第一位であるが、これはおもにビデオ・テレビの輸出によっている。


表6-16 愛媛県の主要輸出入品(昭和35・55年)

表6-16 愛媛県の主要輸出入品(昭和35・55年)