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愛媛県史 地誌Ⅱ(中予)(昭和59年3月31日発行)

一 道路


 発達

 本地域における道路の発達は、金比羅への讃岐街道と四国巡礼の遍路道がその幹線を形成している。讃岐街道は明治に入って松山・善通寺の駐屯地を結ぶ軍用路としても重要な意味をもっていた。それが四国の幹線として整備され、現在の国道一一号となった。その他今治街道が現在の国道一九六号の基盤をなし、大洲街道が松山から中山経由で大洲にいたる国道五六号の基盤となった。土佐街道は現在の国道三三号であるが、「四国新道」として明治の中期から整備されたもので、昔の街道は山腹を通って久万から先は七鳥・東川を経由していた。全般にその改良・整備は全国や四国の他県それに比べかなり遅れている。現在、松山市に通じる国道の整備状況は表2-38の通りである。


 道路と自動車交通の現状と問題点

 本地域の道路網は松山を中心に放射状に延びる一般国道と、これを補完する一般県道、市町村道よりなり、本地域はもとより県内全体の交通体系の結節点の役割をはたしている。
 現在の道路状況を表2-39でみると、道路の総延長四三九六㎞で、一般国道は松山市を終起点とする一一号・三三号・五六号・一九六号のほか三路線で延長二三五km(全体の五・三%)あり、四国の主要都市である高松・高知と三時間程度で結ばれている。また市町村間を結ぶ一般県道は八七九km、生活道路である市町村道は三二八二㎞となっている。本地域の中心松山市の道路の総延長は一五七三km(三五・八%)で種類別では国道四七km(二○%)、県道一九六㎞(二二・三%)、市町村道が一三三〇㎞(四〇・五%)を占める。なお県道は上浮穴郡が最長で三三〇㎞(三七・五%)を占める。これら道路の整備状況をみると、一般国道、一般県道の舗装率が高い反面、市町村道の舗装率が六〇・一%と低いのがめだっている。一方改良率では一般国道(七一・六%)は進んでいるが一般県道(二六・二%)、市町村道(二九・八%)は非常に低くなっている。これを地域的にみると松山市・伊予市・重信町・砥部町や久万町以外の市町村の改良率が非常に低くなっている。
 このような整備状況で一般国道をはじめ各路線とも著しい交通量の伸びをみせ、特に松山市街地とその周辺では交通の渋滞が著しく、飽和状態に近い混雑となっている。この緩和をはかるため、バイパス建設が推進されている。すでに三三号と五六号のバイパスは完成し、一一号の松山東バイパスも最近完成した(写真2-17)。また、これら三国道を結ぶ南部環状バイパスも完成し、一九六号バイパスとして北部環状バイパスも一部完成している。しかし交通渋滞の解消には不十分で内外環状バイパスの早期完成と地方道の改良整備が望まれている(図2-34)。
 次に表2-40から本地域の自動車登録台数をみると、昭和五五年三月末現在で約一九万台で本県の三八・八%を占める。車種別では普通乗用車が最も多く、約九万四〇〇〇台となっている。市町村別では松山市の占める割合が最も高く本地域の六九・四%で、次いで伊予郡・温泉郡・北条市・伊予市・上浮穴郡の順序である。次に普通乗用車の普及率を市町村別にみると、川内町の七八・一%がトップで北条市・砥部町など松山市周辺町村が高い。逆に貨物車数が普通自家用車より多いのは山間部町村や島しょ部にみられる。次に表(2-34参照)から松山市入口付近の国道の自動車交通量の推移をみると、昭和四〇年以来、各路線とも著しい交通量の増加を示した。特に五六号の八・一倍を最高に、三三号の四・四倍、一九六号の三・八倍、一一号の一・六倍(ただし、一一号はすでに昭和四〇年に飽和状態に達していた)となっている。一一号以外の三路線とも、四三年から四六年に容量を越え、五二年では五六号が混雑度が最高(二五七・六%)である。一部バイパスの完成によって混雑が緩和されたとはいえ、朝夕の混雑はいぜん激しい。
 本地域におけるバス交通は県内で初めて、明治四四年(一九一一)に松山~堀江間に運転された。中予地方では伊予鉄道電気(昭和一六年に伊予鉄道株式会社と変更)が、昭和一九年に三共自動車を合併し、伊予鉄道に自動車部が誕生した。一方国鉄も昭和九年に三共自動車の松山~久万路線を買収し、予土線とした。戦後伊予鉄が松山~今出間を復活し、さらに松山~北条間を復活させた。宇和島自動車、瀬戸内運輸との相互乗入れ、奥道後観光バス(不定期)の発足などが大きなできごとである。現在松山地域を走る伊予鉄バスの主要路線別乗車人員をみたのが表2-41であり、その間の松山市内の運航路線図が図2-35である。総数ではマイカーの普及により乗車人員は減少傾向にある。路線別では幹線道路である三三号(砥部・丹波・拝志線等)、一一号(新居浜・川内線等)、一九六号(北条・今治線等)等の人口増加地域に路線が多い。

表2-38 松山市の国道

表2-38 松山市の国道


表2-39 道路の現況

表2-39 道路の現況


図2-34 松山市の主要道路網(昭和58年末現在)

図2-34 松山市の主要道路網(昭和58年末現在)


表2-40 松山圏域における自動車数(昭和55年3月)

表2-40 松山圏域における自動車数(昭和55年3月)


表2-41 一般乗合旅客自動車路線別乗車人員(松山市近郊)

表2-41 一般乗合旅客自動車路線別乗車人員(松山市近郊)


図2-35 市内バス路線図

図2-35 市内バス路線図