データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

第二節 主たる市町村並びに森林組合


 主たる市町村

 市町村は、地域において、直接的な行政を行なう立場にあり、県は、市町村行政を介して国、県の行政施策を推進している。しかし、これまでの林業行政は、木材統制、伐採規制の流れを受けて、県林業行政森林組合で進めることが多く、昭和二七年に発足した普及事業も森林組合を介して森林所有者へ技術普及を進めるなど、変則的な形で経過してきた。
 しかし、最近の社会情勢は、複雑、多様化し、これにともなって、農林水産業における県、市町村行政における役割分担にも多くの変化を生じている。
 林業では、過疎による人口の流出、労働力の減少にともなう要手入れ林分の増大、各種病害虫被害林分の拡大、災害の発生にともなう市町村負担の拡大など、市町村森林資源の有効利用によって市町村が享受するものが多く、この意味で市町村が果たす役割が増大するものと考えられる。
 このような背景から、各種の行政施策、中でも林業構造改善事業、入会林野整備事業、森林総合整備事業など市町村を事業主体として計画立案する事業が強化される傾向にある。しかし、市町村林政の確立は、執行体制の整備とその財源確保が課題となり、市町村長の林業に対する理解も関連して、林政関係職員の質、量の面で格差を生じ、依然として森林組合へ依存している市町村がみられる。
 しかし、山村の厳しい現状を打破し、森林、林業の活生化と、森林資源の有効利用を促進するためには、市町村林政を確立し、市町村を中心に農林業関係団体、地域の指導者、後継者を中心とした新しい地域指導体制を整備して着実な農林業振興活動を展開しなければならない。

 今後の問題点として
 (イ) 市町村林政の主体性を確立するためには、執行部の林業に対する理解を高める必要がある。
 (ロ) 市町村職員には、林業技術者が少なく、林政担当期間も一般に短い傾向かある。
 (ハ) 市町村によって林業の重要度及びその職員数に格差が大きい。

 森林組合

(1) 森林組合の実態
 昭和三五年当時森林組合は九二組合であったが合併などにより、五六年度現在では四六組合になっている。それに伴い一組合当たりの組合員所有面積は、昭和三五年の三、一二四haに対し、昭和五六年度には六、一〇八haと経営基盤が拡大している。
 また、生産森林組合は昭和三五年に一一組合であったが、現在一一三組合になっている。
(2) 森林組合の執行体制
 昭和五六年度一斉調査によると、常勤役職員一〇人以上の組合は一二であるのに比べ、四人以下の組合は一八である。さらに常勤理事不在の組合が一三である。
(3) 資本の動き
 払込済出資金は昭和四三年度に、二億一九四万三、〇〇〇円であったものが、昭和五三年度では六億八、二三八万一、〇〇〇円と、着実な伸びを示している。昭和五五年度における一組合当たりの払込出資金額は本県が全国第一位で次いで青森県の一、九六〇万二、〇〇〇円となっている。
(4) 森林組合事業のあらまし
 昭和五六年度における森林組合の木材取扱量は、二一万四千立法メートルであり、このうち民有林関係は、一九万立法メートルである。これは、県下の民有林木材生産量の三〇%であり、全国平均をかなり上まわっている。
(5) 森林組合の作業班
 森林組合の作業員数は昭和四四年をピークに徐々に減少し、老齢化の傾向がみられる。昭和五六年度において労務班員をもたない組合は一〇組合である。

表3-7 愛媛県市町村別土地面積及び森林面積

表3-7 愛媛県市町村別土地面積及び森林面積


表3-8 森林面積

表3-8 森林面積


表3-9 役員及び職員の状況

表3-9 役員及び職員の状況


表3-10 払込済出資金

表3-10 払込済出資金


表3-11 森林組合事業

表3-11 森林組合事業