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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

二 実施要領による成果と反省


 第一次農地改革と開拓の困難性

 第一次農地改革は、形式上一応軌道に乗った観があったが、開拓用地の取得は、県・市町村又は農業会などの団体が直接開墾事業を取り上げない限り困難であり、若し個人でこれを行なうとすれば、地主の了解が必要であった。一方、県・市町村などは戦後の混乱で陣容も整わず、政府が大規模な開拓事業を政策として展開したとはいえ、これに応ずる地方組織体制はできていなかった。もたもたしているうちに引き揚げ者・復員者・転失業者などの就農希望者は、ますます激化する食糧危機のさ中に、開墾適地を目前に浜手傍観せざるを得なかった。
 そこで愛媛県においては、取りあえず国有林野で比較的農業に適する地域を借り受け、これに希望者を収容することにした。越智郡桜井町・周桑郡楠河村・上浮穴郡川瀬村・温泉郡拝志村がその例であって、応急措置であったため調査の不的確と計画の粗漏な点はまぬがれ得なかった。
 このように一般民有地については、農地調整法の改正を見たもののその根拠が薄弱であり、機構的にも十分でなく、加えて資金、資材の需給も全く見通しをつけ得なかったなど、事業の着手は全面的に難しかった。