データベース『えひめの記憶』
愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)
八 成功検査
不合格者の土地買い戻し
国が民有地などを職権取得し、自作農創設のため売り渡した土地なども、開拓者の不適性や社会・経済情勢の変化により転職する者もあった。これらの土地については、国が先買権を行使することとなり、新農地法では第七一条を設け、成功検査を実施することになった。
即ち、農地法第七一条には、次のとおり規定されている。
(売渡後の検査)
第七一条 都道府県知事は、第六一条の規定により売り渡した土地等につき第六七条第一項第六号の時
機期到来後、遅滞なくその状況を検査しなければならない。
(注)
(1) 第六一条の規定とは、国が売り渡すべき土地等についての規定。
(2) 売り渡した土地等の「等」とは、土地の外に農地法第五八条の規定によっ
て被使用者の買収請求によって、国が買収した施設を指すものと解する。
(3) 第六七条第一項第六号の時期とは、売渡通知書に記載されたその地区に
おける農地とすべき土地の「開墾を完了すべき時期」であり、入植者は五
か年・増反者は三か年を経過した年月日が指定された。
この検査の結果は、
A 合格
B 不合格(買戻相当・買戻宥恕)
に分類された。
(注) 買戻相当の土地については、農地法第七二条の規定により、国が売り渡した
格安の価格で買い戻した。
買戻宥恕の土地については、おおむね一年後に再検査を行ない、その結果、
買い戻すか、どうかを決めた。
この検査の始まった二七年度頃から、開拓主、土地改良従の農業投資が、逆
転し、土地改良主、開拓従になった。
昭和二五年度から昭和四三年度までの検査実施面積(未墾地売り渡しの面積)と、その成績は表3-5のとおりである。