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愛媛県史 社会経済4 商 工(昭和62年3月31日発行)

二 下水道のあらまし

 下水道の種類

 下水には、雨水と人間の生活活動や生産活動によって発生する汚水とがある。下水道はこれらを速やかに排除して、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与するとともに、公共用水域の水質の保全に役立つことを目的とした施設である。下水道の種類は、新下水道法(昭和三三年四月制定公布)によって、次のように定められている。
 公共下水道……主として市街地の下水(雨水及び汚水)を道路に埋設した管きょで終末処理場に集め、それを処理し、公共用水域に放流するか、または流域下水道に接続する下水道であり、かつ汚水を排除すべき排水施設の大部分が暗きょである部分をいう。なお原則として、市町村の区域内において計画・建設されるもので、その管理主体は市町村である。
 流域下水道(昭和四五年新設)……二以上の市町村の公共下水道により、排除された下水を終末処理場に集め、それを処理し、公共用水域に放流する下水道であり、規模に応じて第一種(計画人口一五万人以上)、第二種(計画人口三万人以上)の二つに区分される。
 都市下水路……主として市街地における雨水を排除して、浸水を防止することを目的とした下水道で、原則として大部分が開きょであり、一定規模の範囲(開きょの内のり径が五〇㌢㍍以上かつ集水区域面積が三〇㌶以上二○○㌶未満が原則)のものをいう。
 特定環境保全公共下水道(昭和五〇年度新設)……湖沼周辺などの自然環境の保全、農山漁村の生活環境の整備を目的とした終末処理場を有するミニ公共下水道であり、一定規模の範囲(計画人口一、○○○人以上一万人以下)のものをいう。なおこの事業は市街化調整区域においても、都市計画区域外においても実施することができ、下水道法では公共下水道に含まれる。
 特定公共下水道……主として中小の工場排水を集めて処理する下水道で、原則として企業の負担が必要であり、下水道法では公共下水道に含まれる。
 愛媛県においては、これらの事業のうち、昭和五七年度までに公共下水道、都市下水路、特定環境保全公共下水道の各事業が実施されている。
 このように下水道の役割は、雨水の排除による浸水の防除、汚水の速やかな排除による住宅地周辺環境の向上及び、便所の水洗化による居住環境の改善並びに、公共用水域の水質保全などである。

 下水道のしくみ

 下水道施設は、下水管渠・ポンプ場・処理場から構成されている(図公2-4)。家庭からあるいは、工場・事業所などから排出される汚水は、汚水桝に流れ込み、道路下に埋設された下水管きょを通じて処理場に流入し、清浄な水に処理された後、河川あるいは湖沼、海域などの公共用水域に放流される。下水処理は終末処理場で行われるが、その処理方法は、生物処理法を主体とする活性汚泥法が多く用いられている。