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愛媛県史 県 政(昭和63年11月30日発行)

1 技術立県・ソフト社会

 高度技術化への対応

昭和六〇年県の技術振興指針で定めた「えひめテクノピア構想」で、県下六圏域をそれぞれの技術を活用したテクノカルチュア(技術尊重風土)実現のための中核的技術開発拠点として「愛媛テクノポリス」建設計画が浮上した。テクノポリスとは産業・技術・住空間を有機的に結合した「高度技術集積都市」をいい、当面六五年建設を目途に、圏域を松山中心の中予平野部及び新居浜・西条中心の周桑平野部六市六町とした。産・学・住に加えて「創造的風土の醸成」を掲げ、ユニークな「遊」の機能を加えた「愛媛ヒューマン・テクノポリス」の建設を目指しており、技術立県の中核体と期待されている。
 特に新居浜・西条地区は、県下最大の先端産業集積を背景に機電高度化(メカトロニクス)・ファイン化による素材産業の再生複合による複合先端産業基地(ハイテクノロジーエリヤ)の整備、すなわち高度化複合化した新地場中小企業を組み入れた新コンビナート構想への展望があり、テクノプラザ愛媛(技術集積拠点)との結び付きは、企業の活性化に直結するものと考えられている。
 情報通信の今世紀末までの伸び予想は二〇倍という驚異的なもので、交通施設の一・五倍に対し格差著しく、都市・農村のハンディを一気に縮めると同時に、反面では情報化への対応の遅れは命取りにもなる。テレトピアとは、未来型コミュニケーションモデル都市のことで、松山市を中心に中予全域三市一三町村が六〇年郵政省から「テレトピア構想モデル都市」の指定を受けた。キャプテンを核とする地域総合情報ネットワークを中心に県民文化会館、コミュニティ、福祉、医療、企業、農業など六情報システムと多核的有機的に結び、地域の交流と活性化を目指すものである。
 さらに松山圏の学術・研究・教育の集積を背景に、先端産業導入にも直結する高次都市機能の集積拠点化を図り、ビジネス・情報集積によるインテリジェンスビルの構築、また全国交通通信ネットの一環をなす、サービス総合デジタル網(ISDN)の設置が情報化時代の急務とされている。また八西地区(八幡浜市・西宇和郡)一市五町は、みかん・水産を主産業とした地域として、中四国のトップを切って通産省から「ニューメディアコミュニティのモデル地域」の指定を受け、八西地区総合情報システム・西宇和青果農協オンラインシステムなどの構築が準備されている。
 なお、海洋版テクノポリスとして宇和海を主対象に、水産業を核とする沿岸及び沖合水域の整備開発に新機軸を求めるマリノベーション構想も六一年度国の地域指定を受げた。

 長寿理想郷をめざして

四全総は近未来社会を長寿化ソフト化と予想するが、本県の六五歳以上の老年人口比は六〇年一二・九%で全国平均一〇・三%をはるかに上回り、六五年には高齢化社会の一指標となる一四%を超える高齢県となることが予想される。白石知事はここまできた「長寿社会」を見つめて、精力的に保健、福祉、生活など各施策を講じて明るく生きがいにあふれたシルバーアルカディア(長寿者理想郷)の実現を念願としつつ、本格的な長寿社会対策の継続発展を次代に託した。
 また、昭和六〇年公表の県保健部による「地域保健医療計画」では、保健医療圏(市町村を一次、地方生活経済圏を二次、東中南を三次、全県を四次)の整備、ライフサイクルに合わせた「かかり医制度」の奨励、寝たきり・痴呆化老人への保健・福祉両面の介護、辺地・遠隔地・松山テレトピア圏などへの高度診療情報システム導入などがあげられ注目される。ソフト社会に対応し、じっくりと心のびやかに生きるための「生涯教育」の比重が高まっている。