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愛媛県史 文 学(昭和59年3月31日発行)

第四節 詩

 文学の一部門としての「詩」は、自然や人事などから発した感興や想像などを一種のリズムをもった形式によって叙述表現したものであるとされる。押韻・韻律・字数などの律格をもつ、いわゆる定型詩と、そうした律格に自由な散文詩がある。また主題によって叙事詩・抒情詩・劇詩などに分けられる。
 日本近代詩の歴史は、明治一五年の『新体詩抄』の刊行によってはじまるが、明治・大正を通じて成熟・発展し、大正末期・昭和初頭にかけて転換期を迎え、未来派運動・高橋新吉のダダイズムの詩・アナーキスティック詩・短詩新散文詩運動を経て現代詩へと移行する。近代詩・現代詩の区分については明確な定説をみないが、大正末―昭和初の詩運動が質的な転換を日本の詩に迫ったことは事実であって、この転換期をもって近代詩・現代詩を区分するのがほぽ許容されうる見方であろう。したがって、愛媛の詩も、明治・大正・昭和前期・そして昭和二〇年以後の昭和後期に分かつ。
 この第五章近代・現代の章においては、五節に唱歌・童謡、校歌・応援歌・寮歌、音頭・小唄などの歌詞が、七節に児童詩がとりあげられ、さらに漢詩は資料編(学問・宗教)ならびに部門史4 文化Ⅱ(1)「学問・宗教」に述べられているので、この節ではこれらを除外して記述する。