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愛媛県史 教 育(昭和61年3月31日発行)

5 看護職員の確保と質の向上

 昭和四〇年ごろから、本県では全国と同様に看護職員の不足の声が高くなり、同四九年一〇月、県保健部に「愛媛県看護職員確保対策委員会」が設けられた。構成員は関係諸団体の代表二二名で、審議は、同五五年ごろまでは数的確保に比重が置かれたが、状勢の変化につれて、漸次、質的向上策に移行した。同四九年末を基準とした「第一次看護職員需給計画案」(昭和五〇年~五四年)では、同四九年末に既に一二○九名不足のところを、五か年計画の同五四年末に、需要八二九六名、充足八四三一名、余剰一三五名と算定し、これを目どにあらゆる充足策を講じた結果、実情は四四七名の不足までにこぎつけた。ところで、看護職員の需給には不安定要素が多く、県医務課では、再び同五五年末を基準とした第二次需給計画案(昭和五六年~六○年)を示して、同六〇年末の需要を一万一一一二名と見込んだうえ、需給の均衡に向けて努力することとしたが、その間需給関係は年々好転してきた。ただ、准看護婦養成の比率超過から、その余剰で看護婦不足を補う実態である。幸い、高等学校卒を始め准看護婦の大部分が、何らかの学習により看護婦資格を取得することで、都合よく調整されている。
 将来の看護職員の需要情況については、①出生率の低下はあるが寿命の延びから老齢者の増加で人口増は続く。②医療の技術・機器・医薬の進歩開発と健康意識の向上。③公私立病院の大規模化と個人病院の増加。④深夜、準夜勤など看護職員の勤務体制の改善。⑤結婚・傷病等による離職などの需要増加の諸要因が考えられる。
 本県は、県立公衆衛生専門学校と県立臨床検査専門学校を統合して短期大学の設置を検討する運びとなり、五九年一〇月、委員会で規模・場所等の調査を開始したことは、時宜を得たもので早期実現が期待される。