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愛媛県史 学問・宗教(昭和60年3月31日発行)

三 地方分け小考

 今日の小考をここにつけ加えてみる。
 諸説の多くが、どの段階でか、「東予」・「中予」・「南予」との考えかたをとろうとしている。これが至当なのではないか。県人の多くのかたも、常識上、伊予のことばを、「東予方言」・「中予方言」・「南予方言」に大別していられると思われる。おのおののくわしい範域などはぬきにしてである。私は、一般のこうした通念に賛成する。
 ことは、目にも見えないことば―方言―の、長大な伊予路、複雑な地形の上でのひろがり、および地方的区分にかかおる。きっぱりとした地方分けなどができるものではなかろう。大体の分派が穏当に考え定められるならば、まずよしとしなくてはなるまい。
 穏当なところを求めて、以下には、しばらく地方分派(愛媛方言内部分派)の考察を進めてみよう。