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愛媛県史 芸術・文化財(昭和61年1月31日発行)

二 人文的な名勝

保国寺庭園

 (西条市中野 保国寺 国指定名勝)
 本堂の裏手にあるこの庭園は、室町時代初期の永享年間(一四二九~一四四一)に作られたもので、四国最古の名園である。庭の面積は約七aばかり、伊予青石を使った集団の石組み、枯滝石組みや蓬莱山の形どりは中国の自然を模した枯山水であり、池水の周りの苔さびた庭、庭石に、マンリョウ、サッキ、サザンカ、ウメモドキなどを配し、バックはヤマモモ、ラカンマキ、モッコク、ホルトノキなどの林となっている。

広瀬公園

 (新居浜市上原 県指定名勝)
 別子銅山三二代の総支配人広瀬宰平が、当時の中萩村と角野村にまたがるこの邸宅を、明治二〇年に完成し、地方民に解放したもので、面積約三h、その約半分は亀池と呼ばれ、遠州流の露路式庭園である。
 この庭の植物ではツバキが一番立派で、三〇品種約一〇〇株が植えこまれている。コンロンコク、エゾ二シキ、イワネシボリ、シラビョウシ、タマボタソ、アラジン、コウキリソ、ジッコウ、ゲッコウ、オトメツバキ類など、県内屈指の椿園である。また庭の人口に大きいカリンがあって春の開花時には人目をひき、クス、ヒノキ、クロマツ、サザンカ、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、ダイオウショウ、ユズリハ、コウヨウザンなどの樹木、その下には赤い実をつけるナンテン、マンリョウ、センリョウ、アオキや、ツツジ、ヤマブキ、ハギ、ボタン、シャクヤクなどが配置よく植えられている。

天赦園

 (宇和島市天赦公園 国指定名勝)
 七代宇和島藩主宗紀(号春山)が、江戸末期の慶応二年(一八六六)に完成させたもので、全面積約一・三ha、園内は周りのクス、ウバタガシなどの常緑樹で外部から遮断され、小島のある池を中心に、本県南部の代表的な暖地性の植物、三九科約三〇〇種が見られる。
 特にタケとフジが多いが、それは伊達家の家紋が「竹に雀」であることにより、タイサンチク、シホウチク、ハチク、トウチク、カンチク、カンザンチク、クロチク、モウソウチク、スホウチク、ホオライチクなど二〇種ばかりの竹が植えられ、また先祖が藤原氏であるので、由緒深い藤の古木が幾品種も植えられ、毎年四月中旬はフジが美しく、六月上旬のハナショウブの季節には、正門をはいった北側四aほどに、二〇品種数千株の花が咲いて見物客も多い。そのほか、コオヤマキ、エゴノキ、ボダイジュ、カンザブロウノキ、チシャノキ、ホルトノキ、ツバキ、トキワガキ、バクチノキ、チョウジガマズミなど多くの植物がある。

西江寺庭園

 (宇和島市丸穂 県指定名勝)
 全体のつくりが桃山式で江戸初期につくられたもの。面積約六・六a、比較的狭い庭園であるが、周囲にウバメガシ、アラカシ、ヒサカキ、イヌマキ、ネズミモチ、ツバキなどの生垣を作り、遠く泉ケ森一帯の外景をとり入れ、その景観を大きくしている。流れに沿う岸には、サッキを刈り込み、マツ、サツキ、クチナシ、ソテツなどを大島に、サッキを小島に植えて、この両島を鶴亀に仕立て、「鶴亀の庭」とも言われる。