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伊予市誌

七、森漁港の築造と全国豊かな海づくり大会

 森漁港は一九六四(昭和三九)年一月二二日農水省告示第四七号で指定された第一種漁港である。漁港の整備については一九八八(昭和六三)年に愛媛県中予水産試験場が森川河口右岸北東部に建設が決定されたことに伴い、漁港区域の変更を機に漁港整備基本計画を立て、第八次漁港整備計画に基づき、同年に局部改良事業で臨港道路、防波堤を建設した。一九八九(平成元)年度より漁港改修事業で防波堤、護岸、物揚場、野積場及び漁具保管修理施設用地などを整備し、一九九四(平成六)年度に完成した。漁港に隣接して愛媛県中予水産試験場、中予栽培漁業センターも建設され、更にヒラメ養殖のパイレイも建設された。

 愛媛県中予水産試験場・中予栽培漁業センターの建設
 中予水産試験場と中予栽培漁業センターの建設については、全国有数の水産県愛媛の漁場は宇和海と瀬戸内海に大別され、それぞれ異なった漁場環境を形成している。それぞれの環境を活かした漁場の開発を図ることを目的としている。一九八九(平成元)年二月一〇日に工事に着工し、一九九〇(平成二)年一二月に完成した。試験場・栽培漁業センターの敷地面積は三〇、〇九〇・五五平方メートルである。建設費用は五一億七、五四〇万円である。試験場の事業としては、瀬戸内海の沿岸漁業の振興を図るため、藻場の造成、資源管理、栽培漁業、養殖技術の開発などの試験研究を実施している。また漁場環境を守るためのモニタリング調査や、バイオテクノロジーなどの先端技術を取り入れた研究を進めている。栽培漁業センターは、つくり育てる漁業の拠点として、ヒラメ、ガザミ、アカガイ、アカウニなどの種苗生産-中間育成-種苗放流-育成管理を実施している。平成一〇年度で一四五万尾(放流用一二五万尾、養殖用二〇万尾)を生産している。
 パイレイ㈱は森漁港の完成と試験場の建設に伴い進出してきた。敷地面積は一万平方メートル、従業員は六人で、ひらめの稚魚一五〇万尾を全国に出荷している。そのうち五〇万尾を南予を中心とした県内に出荷している。

 第一三回全国豊かな海づくり大会
 一九九三(平成五)年一一月七日、伊予市森漁港に、天皇、皇后両陛下を迎えて、「夢・生命きらきら輝く海づくり」をテーマに、全国から約一万四、〇〇〇人の漁業関係者が参加して、第一三回全国豊かな海づくり大会が盛大に行われた。この海づくり大会を前に、愛媛県の魚としてまだいが選定された。大会当日、両陛下はまだいの稚魚を放流され、そのときの感想を詠まれた。この豊かな海づくり大会を記念して、翌年の一九九四(平成六)年一一月六日第一回えひめ水産まつりが同会場で開催され、当日歌碑の除幕式も行われた。御製の字は文化勲章受章の書家村上三島氏が謹書したものである。
 御製
 県の魚 またひの稚魚を 人々と 共に放しぬ 伊予の海辺に

第165図 中予栽培漁業センターの種苗生産過程

第165図 中予栽培漁業センターの種苗生産過程