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伊予市誌

二、村休み

 月の一日・十五日・二十八日をさんじつ(三日)・三大日と呼び、神棚にお供えや灯明をあげ、一家の繁栄・平和を祈願する風習があったが、現代では見られなくなってきている。年間を通じて村人が農作業を休む日は大体決まっていた。正月三日間と正月七日・十五日・やぶ入り(十六日)・二十日正月・二月入り(一日)・彼岸・社日・三月節供(ひなまつり)・春祭り・五月節供(こいのぼり)・田休み・たなばた・お盆・やぶ入り・たのもさん・秋の社日(八社詣り)・秋祭りなどである。これらの日は餅・ぼたもち・団子・すし・ごもく・うどんなどをこしらえて食べるのを楽しみにしていた。
 社日は土を休める日で、鍬をたててはならぬ。たなばたに田に入って稲の葉先で目をつくと盲目になる、盆に魚をとると魚の目ができるなどの俗信があった。このように農を休む日は、つまり信仰的な日であったからである。また、「のら(なまけもの)の節供働き」ということばがある。これも農を休むべき日に休まない、村の共同体の約束ごとを破る者への警告であった。このほか、天王祭などの産土神の祭日にも仕事を休んで、一日を過ごした。
 明治時代になり、七曜制が採用されてから、日曜日を休日とする考え方と、これまでの農作業を休む日を休日とする考え方に、ずれが生じ、農休日のかげは、薄くなってきている。