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伊予市誌

三九、玉生神社の起こり (宮ノ下)

 上野の松本から長尾谷川に沿って山を登ると、そこに一本松と呼ばれる古い松の大木があった。この松から少しおりた一段下の山を多生山といい、松前町西古泉にある玉生神社発祥(はじまること)の地と伝えられている。
 今はみかん園になってしまって、その片隅に小さな祠を残しているだけである。
 言い伝えによると、この辺り一帯の山にはヘビが多く、恐ろしいマムシなどもたくさんいたそうで、村人たちは梅雨から夏にかけては、あまり近づかなかった。ここにいた玉生の神様も、すごくマムシを嫌われて、どこかヘビ・マムシのいない、安住の地を求めようと思われていた。
 そこで、ある日のこと、神様は紙でこよりをよられて、これを流れのきれいな長尾谷川へ流された。このこよりが、流れ流れて着いた所が、現在の松前町西古泉の玉生八幡大神社のところであったといわれ、ここを玉生の神様は、安住の地と定められたのである。
 この神社は、今もその地方の氏神様として、厚くまつられている。