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伊予市誌

11 帰化植物

 近年進められた臨海埋立造成事業・企業用地(一九九二年完成)、市民体育館・市民球場(一九九五年)、松山自動車道伊予IC開通(一九九七年)、四国縦貫自動車道伊予・大洲間開通(二〇〇〇年)などの大規模事業や、地方道の整備、宅地造成工事及び農耕地の休耕・廃園による荒廃に伴い、土着の在来種植物に混じって帰化植物と呼ばれる外国種の侵入が続いている。
 加えて自動車交通の増加はこれら外来植物の分布拡大に拍車をかけることになり、また最近では生活の中にガーデニングが定着し、当然のこととして家庭から拡散して野生化するいわゆる逸出植物も目立ち始めている。
 これらの外来種には天敵となる食植動物(昆虫など)や病気が少なく、栄養的にも有利なことが多いために、在来種の生育困難な土地に容易に侵入し、更に近縁の土着の植物を結果的に駆逐して時に群落を形成するなど当地方の植生が変化しつつある。
 以下顕花植物の科別に市域で観察できる帰化植物(逸出植物を含む)を、主な生育場所とともにあげることにする。

 キク科 セイヨウタンポポ・アカミタンポポ・ブタナ・ヒメジョオン・オオキンケイギク・ノボロギク・チチコグサモドキ・セイタカアワダチソウ・アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ(路傍・のり面)、ホウキギク・ヒロハホウキギク・センダングサ・セイタカタウコギ・セイタカアワダチソウ(休耕田・湿地)、アレチノギク・オオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ケナシヒメムカシヨモギ・ヒメジョオン・センダングサ・ソロノセンダングサ・コセンダングサ・セイタカアワダチソウ・ノボロギク・ベニバナボロギク・ブタクサ・チチコグサモドキ・オオオナモミ(廃園・荒地・埋立地)
 ゴマノハグサ科 マッハウンラン(荒地・墓地)、オオイヌノフグリ・タチイヌノフグリ(路傍・荒地)
 シソ科 ヒメオドリコソウ(路傍・荒地)、オランダハッカ(路傍)
 クマツヅラ科 ヤナギハナガサ(路傍・荒地)
 ヒルガオ科 マルバアサガオ・ホシアサガオ・マルバルコウ・アメリカネナシカズラ(荒地)
 アカバナ科 マツヨイグサ・オオマツヨイグサ・メマツヨイグサ(荒地)、コマツヨイグサ(荒地・路傍)、ヒルザキツキミソウ(路傍)
 トウダイグサ科 オオニシキソウ(荒地)、コニシキソウ(荒地・路傍)
 カタバミ科 ムラサキカタバミ(荒地)、ハナカタバミ(荒地・路傍)
 フウロソウ科 アメリカフウロ(休耕田・路傍)
 マメ科 シロツメクサ・ムラサキツメクサ(路傍)、ウマゴヤシ(荒地・路傍)
 ベンケイソウ科 メキシコマンネングサ(荒地)
 アブラナ科 ショカッサイ(路傍)、セイヨウカラシナ・グンバイナズナ(路傍・荒地)
 ケシ科 ナガミヒナゲシ(路傍)
 ナデシコ科 マンテマ・ムシトリナデシコ(路傍)、オランダミミナグサ(休耕田・路傍)
 スベリヒユ科 ヒメマツバボタン・ハゼラン(路傍)
 ヤマゴボウ科 アメリカヤマゴボウ(荒地)
 オシロイバナ科 オシロイバナ(荒地・路傍)
 ヒユ科 ホナガイヌビユ(路傍・荒地)
 アカザ科 ケアリタソウ(路傍)
 タデ科 オオケタデ(荒地)、ヒメツルソバ(路傍)
 アヤメ科 ニワゼキショウ(路傍・墓地)、ヒメヒオオギスイセン(路傍)
 ヒガンバナ科 サフランモドキ・ハナニラ(路傍)
 ミズアオイ科 ホテイアオイ(池)
 ツユクサ科 ノハカタカラクサ(荒地)
 イネ科 セイバンモロコシ・ヒメコバンソウ・ナギナタガヤ・オニウシノケグサ・イヌムギ・ホソムギ・ネズミムギ・ドクムギ・シマスズメノヒエ・タチスズメノヒエ・シナダレスズメガヤ・メリケンカルカヤ(路傍・のり面)、キシュウスズメノヒエ・オオクサキビ(休耕田・湿地)、イヌムギ・ホソムギ・ドクムギ・カモガヤ・カラスムギ・メリケンカルカヤ・カナリークサヨシ(荒地・埋立地)

 これらの帰化植物は本来の生態系を乱すのみならずブタクサ、セイタカアワダチソウ、カモガヤで知られているように喘息などのアレルゲンになるものも含まれる。いったん定着すると駆除は極めて困難な種類が多いので、今後もその動向には注目していかなければならない。