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伊予市誌

3 母子及び寡婦福祉

 母子福祉法(昭和三九年七月一日法律第一二九号)の施行について、一九六四(昭和三九)年八月五日付児第一六八号による事務次官から各都道府県知事あてに出された通達によると、

  「従来母子福祉に関する施策は、主として母子福祉資金の貸付等に関する法律(一九五二年・昭和二七年公布)を中心として講じられ、その他の法令に基づく施策がこれと相まって行われてきたのであるが、母子福祉はその関連する領域が極めて広く、行政も区区に行われているのが実情であり、またその施策も十分でないので(中略)・・・今回母子福祉法を制定し、可能な限り関連する施策を総合的に体系化しつつ、その向上を図ろうとするものである。(以下略)」

と法律制定の趣旨が述べられて国及び地方公共団体の施策の方向を示している。その具体策として母子家庭に対し、生活安定と向上のために必要な資金の貸し付け・住宅・雇用に関する特別の配慮・母子福祉施設の整備などが実施され、一九八一(昭和五六)年母子及び寡婦福祉法と改められた。

 母子福祉団体
 一九四九(昭和二四)年戦争未亡人が中心となって旧町村ごとに更生婦人会を結成し、伊予郡連合更生婦人会を通じて愛媛県婦人更生連合会(昭和二六年一一月結成)に所属して活動が展開された。市制施行後は市内の各単位団体によって連合会がつくられ、一九五六(昭和三一)年には現在の「母子福祉会」に名称が変更された。現在では戦争による母子家庭は事実上なくなったが、病気・事故・災害・離婚等による新しい母子家庭が増加してきた。これらの母子家庭に対し当市母子福祉会は自立更生のための相談と慰問や激励等の諸事業を更に積極的に行おうとしている。

 母子・寡婦福祉資金等貸付制度
 配偶者のない女子で現に児童を扶養している者に対しては母子及び寡婦福祉法に基づいて事業資金並びに学資等の貸し付けを行い、その経済的自立の助成と生活意欲の助長が図られている。一九六九(昭和四四)年一〇月からは児童が二〇歳を超えて母子福祉資金貸付制度の対象とならなくなった世帯に対しても、資金の貸し付けと必要な援助指導を行うため寡婦福祉資金貸付制度が実施された。当市におけるこれら資金の利用状況(平成一六年一月一日現在)は第59表のとおりである。また、当市では市制施行以来毎年母子家庭小口資金貸付制度の運用を伊予市母子・寡婦福祉連合会に委託して母子世帯が小額の資金を緊急に必要とするとき、短期間ではあるが無利子で貸し付け、母子家庭の応急経済援助を図っている。

第59表 母子・寡婦福祉資金貸付状況

第59表 母子・寡婦福祉資金貸付状況