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伊予市誌

2 地方改善対策事業

 同和対策事業の経緯
 一八七一(明治四)年のいわゆる身分解放令以来、今なお、同和地区の人々に対するいわれのない差別が跡を絶っていない。同和問題は深刻な社会問題であり、これの解決は国民的課題とされている。戦後の同和対策は一九五三(昭和二八)年に厚生省(現在の厚生労働省)が生活環境改善対策予算一、三〇〇万円を計上したのを初めとして、一九五八(昭和三三)年に同和問題閣僚懇談会が設置され、一九六五(昭和四〇)年には戦後の同和対策に一時期を画した同和対策審議会の答申が行われるなど逐年その充実が図られてきたが、一九六九(昭和四四)年七月には同和対策事業特別措置法が制定公布され、同時に同年度から一〇か年計画として同和対策長期計画(閣議了解)もたてられた。以来国の同和対策事業は、この特別措置法と長期計画を二本柱として実施されてきた。

 同和対策事業特別措置法の概要
 この法は対象地域住民の社会的理由により生活環境などの安定向上をはばむ諸要因の解消を図ることを目標とし、これを一〇か年で達成するために一九七八(昭和五三年度までの時限法であった。国は前記の目標を達成するため、対象地域の生活環境の改善、社会福祉の増進、産業の振興、雇用の促進、教育の充実、人権擁護活動の強化など必要な措置を講じなければならないこと(第六条)、地方公共団体は、国の施策に準じて必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと(第八条)などが定められた。

 地域改善対策特別措置法の概要
 同和対策事業特別措置法が一九七八(昭和五三)年度までの時限法として制定され、三年間の期間延長が図られ、一九八二(昭和五七)年三月同法の失効に伴い法施行一三年間の成果を踏まえ、地域改善対策特別措置法が一九八七(昭和六二)年三月までの時限法となった。

 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の概要
 地域改善対策特別措置法が一九八七(昭和六二)年三月の失効に伴い過去一八年間の成果と反省の上に立った見直しの結果、未だ残事業があることに鑑み、真に必要な事業に限って財政上の特別措置を講じるため、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が一九九二(平成四)年三月までの五年間の最終の時限法として制定された。
 しかし、一九九二(平成四)年度以降にも物的事業量が相当程度見込まれることなどにより、同法制定の趣旨を踏まえて五年間の延長が図られた。
 同法が一九九七(平成九)年三月末をもって失効することから、地域改善対策協議会で地域改善対策特定事業の一般対策への円滑な移行のため、一五の事業に限定して五年間に限り経過的に法的措置を講じることとして、同法の一部を改正する法律が同年三月に制定された。
 同法の一部を改正する法律が二〇〇二(平成一四)年三月末をもって失効し、特別対策事業は完全に一般対策事業へと移行することとなった。
 本市では、この特別措置法に基づいて昭和四四年度から同和対策事業を始め、国及び県の施策と相まって地域の生活環境の改善、経済基盤の確立、文化の向上を図るための諸事業を実施してきた。年度別地方改善事業実施件数については第61表のとおりである。

第61表 年度別地方改善事業実施件数調

第61表 年度別地方改善事業実施件数調