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伊予市誌

九、介護保険

 介護保険制度は、高齢社会において老後の最大の不安要因である介護問題に対して、共同連帯の理念に基づき、社会保険制度の仕組みを活用して、介護が必要な高齢者を社会全体で支え合うことを目的に創設された制度である。従来、福祉と医療に分かれていた介護関連の制度を再編成し、利用しやすく公平で効率的な介護支援の実現を目指し、二〇〇〇(平成一二)年四月一日に施行された。
 この事業は、保険者を市町村、被保険者を四〇歳以上の居住者とし、更に六五歳以上の者を第一号被保険者、四〇歳~六四歳までの者を第二号被保険者とする地域保険方式をとっている。当市においては施行開始に向け、一九九八(平成一〇)年四月一日から介護保険準備室を立ち上げ、市内各地に出向いての住民説明会を行うなど、制度の啓発活動に努めた。また、一九九九(平成一一)年一〇月一日、伊予市・松前町・砥部町・中山町・双海町・広田村で構成する伊予地区介護認定審査会を共同設置し、公平、公正な審査を行うことになった。
 受給者に対する保険給付割合は九割とし、その財源として、第一号被保険者の保険料一七%、第二号被保険者の保険料三三%、公費五〇%でまかなうこととした。そのうち、第一号被保険者の保険料に関しては、市町村で算定、徴収することが適当とされるため、当市における平成一二~一四年度の第一期事業計画期間内の保険料基準額を年額三万六、四〇〇円と定めた。制度施行時には、若干の混乱も見られたが、おおむね順調に事業が実施され、サービス利用者やサービス提供事業所数も年を追うごとに増加し、制度創設目的である高齢者が安心して介護を受けられる環境が整ってきた。
 更に国においては、施行後三年目の見直しとサービス適正化を図るため二〇〇三(平成一五)年四月一日からは、介護報酬単価の改定、認定ソフトの適正化及び保険料負担割合を第一号被保険者一八%、第二号被保険者三二%とするなどの制度改正が行われ、当市でも、制度の一層の充実に向けて第二期事業計画を策定し、第一号被保険者の保険料基準額を年額四万六、八〇〇円と改めた。
 今後、被保険者の保険料負担やサービス適正化など、解決すべき問題は抱えているが、高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らすために、この制度は大きな役割を担っている。