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伊予市誌

二、戦前の労働運動

 大正時代に起こった事件のうち、県民の注目をあびた最大の事件は米騒動であった。これは、一九一八(大正七)年八月三日から約三週間にわたって全国的に展開された騒動の一環として、県下一円で勃発したものであったが、郡中町のように群衆による大規模な暴動の形をとったものもあるし、その他多くの町村で起こった騒ぎのように暴動までに至らなかったが不穏な状況を呈したものもあった(『愛媛県史概説上巻』)。
 当時、米は一升二五銭が相場であったが、米不作とシベリア出兵をあてこんだ米の投機的買い占めのため米価が急騰し、商品のなくなった米穀商が一升五〇銭の高値で売り出した。飲食店は米がないため店を閉める、労働人夫たちは飯が食べられず仕事もままならない、貧民たちは金もなく、例え金があっても店が米を売ってくれないなど、米騒動が起こる背景として、このような状況があった。